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2016年08月04日07:16

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「 心の逃げ道について 」


思い出したくないこと
思い出したくても 
考え始めたら涙が止まらないこと
感情のコントロールが出来なくなること
それぞれの人が それぞれの思いを抱えて生きています
 
「 心の逃げ道について 」
 
あくまで私個人の話ですが
東日本大震災の後 自分の中でルールを作りました
これからの人生を 
被災した経験で押し潰されてしまわないように
心の中に 目には見えない蓋つきの箱を作りました
 
この 目には見えない蓋つきの箱は
とても便利な 私の逃げ道です
 
恐ろしかった地震のこと
生き地獄だった津波の
音 匂い 空 海 空気 寒さ 声 子供たちの顔 
一瞬で帰る家が無くなってしまったこと
遺体安置所で人間の心を忘れて歩き回ったこと
震災後に起きた様々な出来事
家族の食糧の心配
これからの生活への不安
大切にに保存していた思い出の物
祖母と母の声・・・・・・・・
普段は触れることのためらわれるものが
数え切れないほど入っています
 
私が普段 この箱のふたを開けることはありません
蓋を開けてしまえば 普段の生活が困難になり
家族を支えることどころか
自分が今存在していることさえ不確かになるからです
 
震災後 
私達の住む借り上げ住宅の準備が出来るまで
義父 義母 子供達二人を
新潟に嫁いだ夫の妹夫妻のもとで
まるまる2か月間 避難生活をさせてもらい
何から何まで 本当によくしてもらいました
 
しかし 生死が並列する世界の恐ろしさを
まざまざと見せつけられた後で
安全のためとはいえ 我が身から引き離すという手段は 
子供たちにとって鬼のような決断だったことでしょう
当時も 離れて暮らす間 夜になると我慢が出来ず 
夫と二人で泣いてばかりいました
 
徐々に借り上げ住宅で生活するめどが着き始め
畳はまだ準備できないものの 
板間の上にブルーシートを敷き
家族を呼び戻す決心が出来た時に
この 目に見えない蓋つきの箱ができたのです
 
いつもの生活では 決して開けることのない蓋ですが
こうして 震災の記事を書くとき
被災した方とお話をするとき
そして 語り部をするときにその蓋を開けています
それが 震災の恐ろしさを伝えながら
自分を守るための 私の逃げ道なのです
 
なぜ 逃げ道を使いながら語り続ける必要があるのか
ほとんどの未災者の方は そう思われることでしょう

説明するのは 非常に難しいことですが
 
逃げ道を使ってまで語り続けなければいけない程
災害と言うものは 普段人間が想像できる次元を
遥かに超えているものなのです
 
こんなに苦しい思いをしているのよ!
こんなに悲しいのよ!
こんなに辛くても ほら見て!頑張っているでしょう?
 
そんな事を言うために 語り部をしているのではありません
そんなことを言うぐらいだったら
語り部なんてやめてしまった方がいいのです
 
どうか私達の経験を踏まえて
文字通り「 踏み台にして 」
災害から かけがえのない命を守る話し合いをしてください
皆さんが 大切な人と防災減災のお話をする
小さなきっかけにして頂ければ それで良いのです
 

被災した人間の気持ちの一端です
シェアしてくださる方がいらっしゃいましたら
ご自由にお願いいたします

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