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2016年07月01日20:14

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映画 帰ってきたヒトラー

帰ってきたヒトラー  


恒例の”父(83歳、ドイツ関連の仕事)とドイツ映画&食事”という親孝行イベント。
昨年秋の”顔のないヒトラーたち”、今年2月の”ヒトラー暗殺”、13分の誤算”に続き、
今回もヒトラーネタ、ドイツで2012年に大ベストセラーになった小説の映画化です。

1945年4月、敗戦直前に自殺し、焼かれたはずのヒトラーが
なんと2014年にタイムスリップ。
人々はモノマネ芸人と面白がり、リストラされたtvデレクターが特ダネにしようと、
彼と一緒に国内を車で走り回り、様々な国民の不満の声を拾う。
その様子がyoutubeにアップされ次第に話題になり、とうとう人気番組のゲストに。
そこでかつてのように人々を魅了する演説をしたヒトラーは一躍時の人となっていく、、、、。

怖い、怖い! 
笑えるけど怖い映画でした。

最初はヒトラーが現代とのギャップや威厳が通用しないことのとまどいなどで笑えるのですが、
そこから全国行脚に出て人々話す場面はまるでドキュメントのようで、
人々はヒトラーそっくりさんにとまどいながらも、
貧困や移民問題、政治へのリアルな不満が語られていきます。
本来ならタブーな右手を上げる敬礼をしながら、一緒に笑ってスマホに収まりながら。
当然、中には悪ふざけはやめろとか、街から出て行ってくれという人もいます。

意外なことに、ヒトラーを信望しているはずのネオナチは本物?の出現で
戸惑ってい歯切れが悪いのに対し、
田舎の親父や若者などは普段おおぴっらにできない本音を
より過激だったヒトラーならわかってくれるだろうとカメラの前で喋るのです。
そのへん、人間の本質の邪悪なものを見るようで怖いのです。
たぶん第一次世界大戦に負けた1930年代のドイツもこんな感じで不満がたまり、
はっきりものを言うナチスに期待して、選挙で党勢を拡大していったのかと、
思い起こさせます。

そしてヒトラーは言います、
”責任を取る指導者が必要だ”
”民衆の望む世界を作る”
”人々の意見をすくい取り、計画を示し、指導者が実行する。
それを選んだ(選ぶ)のは人民だ”
”選挙を止められるのか”

浮ついた考えの浮動票でEU離脱が決まってしまったイギリス総選挙のあとでは、
まさに予言してたかのような怖い発言です。 
しかもトランプ候補のいるアメリカ大統領選、
日本の参議院選が控えてることを思うと、、、
ほんまどうなるんやろって感じで、すごく怖い。

”責任を取る”や夢のようなきれいごと、どこぞの国にもありました。
年金記録を最後の一人まで調べます、インフレ2%達成、汚染水を完璧に防御、、、、
いろいろと未達なら責任を取る時期なのに
”新しい判断”とかでなかったことになっているような?
(もちろん前政権だった、現野党も同類です)

結局、ほんとうの野望を隠した綺麗事で選挙に勝ち、暴走していくわけです。
当時のドイツ国民もナチスを支持した結果、
自国の発展のという名の無茶な侵略戦争、
あれほどまでのユダヤ人虐殺を望んだわけではきっとないでしょう。
でも選んだのは昔も今も国民だったという。

物語はドキュメントタッチから
テレビの人気者になったヒトラーがこれからどうなっていくかという、
サスペンスっぽいまっとうな映画的な展開になっていきます。
そこには、視聴率のためにはタブーはない、
持ち上げてはスキャンダルで徹底的に落とす、
真実の声が消されるといった、マスコミの怖さが描かれます。
これも人々が陥りやすい現代の大きな”怖さ”の一つです。

映画的には笑える場面もたくさんあるし、
ヒトラー自体には具体的な過激な発言はさせないという配慮もあるし、
原作とは違う(帰りに本屋で結末部分を立ち読み)、
より映画らしい夢オチならぬ映画オチ?っもあって楽しめるし、
そして何よりヒトラー役の熱演、特に街中でのアドリブが要求される
ゲリラ撮影でのなりきりぶりが見事で、総合的に見てもなかなかの傑作でした。

新しくTV局の局長に就任した男が、
視聴率が悪くなって部下を怒鳴り散らす場面があります。
その怒りぶりがまるで往年のヒトラーのような激昂だったのもすごく怖かったです。
”顔のないヒトラー”たちもそうですが、
誰しも自分の中にリトル・本田ならぬ、リトル・ヒトラーがいる、
ヒトラー曰く、”皆の中に私がいる!”
あ〜怖〜。

一方で痴呆の老婆がヒトラーを本物と見破ります。
余計な情報に惑わされない、もはや本能しかない痴呆の老婆だからこそ
悪いものを見分けられるのかもしれません。
たくさんの人がこの映画を”怖い”と感じ、
真実を見極める”本能”を持って欲しいもんです。

怖い怖い、そしてすごくタイムリーな映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=aNe7vqy7dng


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