ラザロエフェクト･10クローバーフィールドレーン観てきたよ

■ラザロ・エフェクト
原題は同じ、ラザロ効果。主人公はアメリカの大学で生物化学の研究をする女性研究者。事実婚の彼氏は同じ研究室の科学者で同僚。この研究室では偶然発見された『ラザロ血清』の応用研究をしていて、この物質は生物の細胞と混ぜ合わせて電圧をかけると、細胞活動を活性化させるという謎な効果を持っています。原理は分からないけど緊急時の延命処置（専門医による救命活動が始まるまで生命活動を停止させない）に使えそうだから研究しようということで、死後急速冷凍された新鮮な動物の死体を使って、蘇生実験を日々行っています。中型犬の蘇生に成功したところでスポンサーの横やりが入り、研究成果は全て没収。諦めきれない研究メンバーは、隠し持っていたラザロ血清を使い秘密裏に実験を行い、オリジナル研究が誰の手によって行われたものか記録しようと試みます。しかし焦りのためか、主人公はその実験中にミスを犯し、感電事故による心停止に見舞われます。人工呼吸、心臓マッサージ、電気ショックの全てに効果は無く、そして目の前には犬の蘇生を成功させたラザロ血清が……。というわけで基本はサイエンスホラーなんですけど、なぜか随所に全く説明のないオカルト現象が発生。囁く声や、十字架・流水に対する拒否反応、業火に焼かれる廊下の幻覚。とどめは白目の無い真っ黒な目。アメリカでも日本でもここ最近流行のホラー表現ですね。もとは北米・ヨーロッパ圏の都市伝説、Black Eyed Kidsなのですが（リトルグレイの原型は、悪い小人の伝承と黒い目の子供のミックスと言われてますね）。この映画では、目を閉じて開くと瞳が無く眼球全て真っ黒て表現なんですが、何で観たんだっけかな……水の中に塗料を落としたみたいな、目の中が黒く濁って真っ黒になる、という表現の方が僕は好きです。主人公の過去のトラウマとかは全く捻りが無くて凡庸なんですけど。医療研究の施設、真夜中で真っ暗、目の前には死んで生き返った得体の知れない人間（人間？）と、かなり怖くて楽しい映画でした。僕が気に入ったことは、この文章量が物語っていますね。気になったのは、オカルト現象の説明が無いことと、犬のロッキーの不気味な行動と、彼の最後がどうなったのか分からないこと、かな。あとデカい音でびっくりさせようとするところ、これは洋ホラーの宿命だからしゃあない。それらを差し引いても充分良く出来たホラーでした。ホラー好きは観るべき。おすすめです。

■10クローバーフィールド・レーン
ネタバレしますよ。
















最初に言っておかなければならないのは、物語や世界感としては怪獣映画クローバー・フィールドとは何の関わりもありません。怪獣クローバーは出ない。単なる地名です。ジャンルとしてはパニックスリラー、エスケープものですね。異常かつ危険な状況からの脱出、が主人公ミシェルの目的となります。物語の8割くらいは、車で事故にあったミシェルがシェルター中で目覚め脱出するまで。起きたら足を怪我していて、初老のいかつい男性と若い髭男と3人暮らしを強制されてしまう。外の世界はエイリアンかもしれない何者かに侵略・汚染され、人間は生きていくことが出来ない。地球のほとんどは何者かの占領下にある……と荒唐無稽としか思えない説明をされるが、本当なのか？　元軍人のハワードと髭のエメットは信用できるのか？　基本的にはミシェル主観の場面しか描かれないので、観客もミシェルにもたらされる情報しか知り得なく、ずっと緊張を強いられます。ここらへんのシナリオ作りは実に上手い。逃げられない状況で、なんとか安心したい、近くにいる人間を信頼できるという証拠が欲しい、でも彼らはどこか異常だ、何かが隠されているのではないか……。で残り2割なんですが、最初にネタバレすると書いたので遠慮無く言いますがエイリアン（？）が出てきます。襲い来る謎の生物や飛行物体からなんとか逃げる、という展開になります。世界侵略ロサンゼルス決戦とか、スカイライン征服とかとおんなじ状況らしいのですね。にょろにょろしたメカが人間を捕獲しようとするのは、スカイラインの方が似てるのかな〜。この映画が傑作か駄作かで評価が分かれるのは、この密室劇の8割とエイリアン襲来の2割の落差を受け入れられるか否かの違いなんでしょうね。観てる間はずっとはらはらして面白かったのですが、見おわって冷静に考えると、確かにこりゃめちゃくちゃだろうって思います。繋げる意味あるのか、と。まあJJエイブラムスにはそうすべき必然がもちろんあったのでしょうが、凡人には分からん……。間違い無く面白かったが、無条件に他人にはおすすめできない、難易度高すぎる映画でした。大作扱いを受けるのは、JJエイブラムス的には不本意だったのか、タイトルに釣られて騙されおって馬鹿どもめ！なのかどっちなんでしょうね。