わりなくもちらばとさわぐ意(こころ)かな咲くは音せぬ花の春風
色わかで匂(にほ)ふやいづれ薄霞(うすがすみ)うすくれなゐの花に棚引く
白雲のたえまにみねのさくら花まがへし色はたちも及ばず
へだつともよしやかすみも中々にみえすく花の色をそへぬる
雲かすみよそめけたれて春の日の光に峰の花ぞかかやく
白たへにまじる若葉の色もみず咲きうづむ花の枝を重ねて
ぬれてなほさかりの花の枝をおもみ風なき雨は降るもいとはず
うすぐもりかすみし春の面影も月にたちそふ霧の朧夜(おぼろよ)
夜の雲収(をさま)るままにそら清くゆくともみえず月ぞ更(ふけ)ぬる
夜をかさね露よりしもの寒しろにかたしきなるる袖(そで)の月影
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