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2016年04月27日23:03

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外国人家事代行 根付くか  海外では「戦力」 日本も特区で 人権への配慮不可欠

外国人家事代行 根付くか
海外では「戦力」 日本も特区で 人権への配慮不可欠


2016/4/26付日本経済新聞 夕刊


安倍晋三政権が掲げる「一億総活躍社会」政策の目玉の一つに、外国人による家事代行サービスの解禁がある。2016年度にも神奈川県などの特区で外国人材を受け入れる。世界ではシンガポールや香港、欧州や中東で外国人家事労働者が認められ家庭の戦力になっている。女性の社会進出の手助けとなる一方、虐待や過重労働など人権問題も発生、課題となっている。




 「住み込みで家事を手伝ってくれるので、仕事や子供の世話に集中できる」。2人の子供を抱えシンガポールで働くスペイン人女性はこう語る。

 同国では家事を担う外国人女性に対し、労働許可が下りる。外国人家事労働者が20万人以上おり、住み込みで働いてもらっても日本円で10万円以下の月給という。共働きが多いシンガポールで、こうした外国人女性が経済成長を下支えしているとの見方もある。

 香港でもシンガポール同様、フィリピンやインドネシアからの家事労働者が共働き家庭を支える。休日には中心街で同郷出身者が集い、つかの間の休息を楽しむ。ただ、家事労働者の派遣国側は、自国女性の扱いに神経をとがらせる。

 15年、インドネシアは「標準的な労働基準がない」として、中東やアフリカ21カ国・地域への家事労働者の渡航を禁止。米CNNは同国のジョコ・ウィドド大統領が「インドネシア女性が家事労働者として海外に渡る習慣は今すぐやめるべきだ」と語ったと報じた。

 シンガポールの地元紙によると、フィリピン、インドネシアに次ぐ家事労働者の派遣国のミャンマーは14年秋、虐待などの疑いがあるとして、一時的に家事労働者のシンガポールへの渡航を禁止した。15年にも同様の措置を取っている。

 しかし、自国より高収入が見込めるため、海外への渡航を望むミャンマーやインドネシアの女性は多い。雇用主と良好な関係にある家事労働者も多く、「政府による禁止は非合法の渡航を招き、かえって問題を深刻化させる」との議論も出る。

 米国では、メキシコ系の女性らが家事労働者として働くが、外国人家事労働者へのビザは発給されず、多くが不法滞在者といわれる。そのため長時間労働や虐待が表ざたになりにくく、人権保護が大きな課題となっている。

 このため家事労働者の団体「ナショナル・ドメスティック・ワーカーズ・アライアンス(NDWA)」が州政府と共に労働者の権利保護に乗り出している。NDWAを訪問調査した労働政策研究・研修機構の主任調査員、山崎憲氏によると、13年以降ハワイ州で家事労働者と雇用主が労働者団体も交え疑似的な労使交渉をすることが認められるなど、待遇の向上が進む。

 欧州では、ドイツやフランス、イタリアで外国人家事労働者が多い。イタリアの事情に詳しい市立大月短大の宮崎理枝教授によると、同国内で合法的な外国人家事労働者は70万人(10年)。特徴的なのは家事労働者が「介護労働者として重要な役割を占めるようになっている」点だ。

 日本でも特区での外国人就労の解禁に向け、パソナグループが滞在資格のあるフィリピン人に研修を行うなど、受け入れ準備が進む。

 特区では日本人と同等以上の賃金を支払うことが課せられ、住み込み労働も禁止。働く女性からはシンガポールや香港をうらやむ声も上がる。ただ世界を見渡せば、外国人による安価な労働力の提供は、国ごとの経済力や貨幣価値の差を背景に成り立っていることが分かる。今後、日本でも外国人家事労働者の人権への目配りは欠かせなくなる。

(国際アジア部 松本史)



 外国人家事労働者
 家庭での掃除や洗濯、炊事などを担う。住み込みや通いなど労働形態は様々だが、一般的に自国内の家事労働者より賃金が安い。こうした外国人が介護や育児支援も担う国もある。
 派遣元の国はアジアならフィリピンやインドネシア、欧州なら欧州連合(EU)域内の東欧諸国が多い。米国のように非合法で大量の外国人労働者が働くケースもある。いずれも家庭内での労働のため、問題が表面化しにくい課題がある。

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