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2016年04月25日22:40

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働き方改革を深めるには 賃金カーブ見直し焦点



http://www.nikkei.com/article/DGKKASDF11H0F_T20C16A4NN1000/


働き方改革を深めるには 賃金カーブ見直し焦点


2016/4/24付日本経済新聞 朝刊

安倍晋三政権が旗を振る「一億総活躍」の焦点の一つが働き方改革だ。仕事の内容が同じなら正社員も非正規社員も賃金を同じにする「同一労働同一賃金」の実現、長時間労働の是正。それぞれ大事な課題だが、忘れられている論点もある。



 日本の正社員の賃金水準を100とすると、パート社員の賃金水準は57。米国の31より高いものの、70〜80台の欧州諸国を大きく下回る。

 「4割を占める非正規雇用の待遇改善は急務」と安倍首相は繰り返している。首相がいう「同一労働同一賃金」のポイントは、非正規社員の賃金底上げにあるようだ。

 法人企業統計によると、日本企業が2015年末時点で抱える現預金は約170兆円ある。

 当分の間、非正規社員の処遇を改善するための蓄えは潤沢にみえる。ただ企業が収益力を高めることなく、賃金の原資を持続的に増やすのは難しい。ポイントは労働生産性を高めることだ。

 日本人の労働生産性は低い。長時間労働も一因だが、それだけではない。米調査会社コンファレンス・ボードのデータを使い、もしも日本がドイツ並みに労働時間を減らしたと仮定した場合でも、1人あたりの生産性は約2割低い。

 「農業、電力、金融・保険、建設などの『岩盤規制』撤廃を」。3月中旬の国際金融経済分析会合で、ジョルゲンソン米ハーバード大教授が強調したのは生産性向上にむけた処方箋だった。

 働き方改革のもう一つの大事な論点は正社員の賃金カーブである。「日本では40歳以降の正社員の賃金が上がり続け、無限定な働き方をしているのが問題」と鶴光太郎慶大教授は指摘する。

 企業に勤める年数が長くなると、賃金が徐々に上がっていく「年功型賃金」は日本も欧州も同じだ。違いは賃金カーブの傾斜の度合いだ。

 独立行政法人の労働政策研究・研修機構によると、日本では勤続年数が20年以上になると急ピッチで賃金水準が切り上がっていく。年齢で40〜50歳代が中心のこの層の賃金水準は突出して高い。

 若いときに安い賃金で頑張ったからこそ、中高年になって高い賃金で報われる。そんな賃金体系はかつて合理的だった。いま、これを見直す利点は大きい。

 ただでさえ人手不足の日本。賃金カーブをもうちょっとなだらかにすれば、60歳や65歳を超えて長く働きやすくなる。また、若い社員の賃金も今より上げ、やる気を引き出す余地が大きい。

 賃金の年功的要素が薄まれば、一つの企業にとどまることなく転職しやすくもなる。「労働契約終了のルール整備も一体で進めれば、雇用のミスマッチ解消も進む」と政府の政策会議に参加する民間議員は語る。

 非正規の賃金を上げていけば、税制上の「103万円の壁」、社会保険料の「130万円の壁」をいかに取り払うかも改めて問われよう。働き方改革の宿題は多い。

(編集委員 瀬能繁)

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