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2016年04月10日23:40

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「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」

「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」 ’12 (英・米)


監督・撮影:トーマス・リーチ


50年代後半に有名ファッション誌で仕事をした後 沈黙し
2010年の映画『世界一美しい本を作る男〜シュタイデルとの旅〜』の
シュタイデル社から出た「Early Color」で再発見された写真家
ソール・ライターに密着したドキュメンタリー。
製作が12年で13年にライターは亡くなっているから
整理されない膨大な量のネガや 捨てられない思い出の品やレシートで溢れかえった
ニューヨークの住まいでぶつぶつ何やら呟いている彼が記録されているのは
非常に貴重なのかもしれない。
個人的に めちゃくちゃタイプの男だったので驚いてしまった!
こういう 世間的な成功とか金とかに関心なく
美や真実に対してゆるぎない感性や価値観を維持できてる男…が
思惟太の好みなんだよねー(笑)。
それはともかく(笑)
映画は字幕翻訳の柴田元幸が言うように
“猫背の老人がのそのそ動きながらぼそぼそ喋っているだけ”なのだけれど
好きなように生きて来たらしい彼の人生に対するスタンスが
“ぼそぼそ”の中に豊かに香っていて
なんて気持ちのいい時間が流れる映画なんだろう…と思ってしまう。
雑然とした彼のアパートメントの壁に無造作に飾られた絵のセンスがよくて
窓辺に転がって伸びをしてるハチワレネコがよくて
ライターの何とも知れない語りがよくて
何より彼の作品が素晴らしくて
遮蔽物越しの人や物の絶妙のバランスに浮世絵の構図を思い出したりもする…
そんなステキな映画なのだ。

ちなみに柴田元幸のトーク付き上映だったのだけれど
大学の教師が本業で翻訳は趣味。従って翻訳は楽しい♪
翻訳した文章を増やしてくれ―という要求に応えるのは難しいが
削ってくれ―には楽に対応できる
だから字幕翻訳は基本的に苦ではなかった。
アメリカ文学というのは「父と子」から成っている
あのポール・オースターでさえそれを免れていない…等々
実に興味深い話を聴くことが出来ました。
この人は聴く力に優れていて
質問者の意図に的確に答えようとする姿勢にちょっと感動しちゃいました。

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