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2016年03月22日23:19

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「炎上」 「おとうと」

「炎上」 ’58


監督:市川崑 脚本:和田夏十,長谷部慶治 原作:三島由紀夫
撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:黛敏郎
m:市川雷蔵,中村鴈治郎,仲代達矢
f :北林谷栄,中村玉緒


言わずと知れた三島由紀夫「金閣寺」の映画化作品。
TV放映や録画ビデオで何回も観ているがスクリーンでは初めて。
知らなかったが 市川雷蔵 初の現代劇なのだそうな。
これも知らなかったが 原作の完成度の高さに市川崑は脚色を断念
三島から創作ノートを借りてこれを元に
和田夏十に創作脚本「炎上」を書かせたのだそうな( Wiki による)。
何回も観ている…というのは、何回もTVで放映されて その度に
見入ってしまう作品だということで、
市川崑にとっても市川雷蔵にとっても 間違いなく代表作の1本であると思う。
モノクロの画像の中で燃え上がる驟閣(金閣)の艶めかしさ
生活の匂うほの暗い庫裏の佇まい
廊下と障子と中庭でできあがる構図
雷蔵の吃音の痛ましさ 仲代達矢の跛行のイヤラシさ
中村鴈治郎の老師の哀しいほどの俗っぽさ
救いようのない女族の煩わしさ
そんなものどもが息苦しいほど鬩ぎ合う展開なのに
静謐で美しいモノクロの画は粛々と
雷蔵を放火へと導いていくように感じられる。
美しい映画である。秀作。





「おとうと」 ’60


監督:市川崑 脚本:水木洋子 原作:幸田文 撮影:宮川一夫
美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志
m:川口浩,森雅之,中谷昇
f :岸恵子,田中絹代,岸田今日子

カンヌ映画祭 高等技術委員会賞


幻の現像処理“銀残し”で有名な
これも市川崑、岸恵子にとって代表作となるだろう1本。
ただし実際に“銀残し”がどのようなものだったのかは
フィルムの劣化により(?)判らないので
(今回デジタル復元版だけれど銀残しの復元はされていないと思う)
毎度 〃 少し褪めたような色合いの画を眺めるのだけれど、
これも何度もTVやビデオで鑑賞しているが
スクリーンで初めて観る げんと碧郎 姉弟の物語は
義母 田中絹代の気持ちの悪い存在感が圧倒していて、
彼女がこの家に持ち込んだ“信仰”という軸の異様さが
何でもない4人家族のドラマをガチガチに緊張させて
げんと碧郎の親密を浮き上がらせているのだな…と思ったりした。
岸恵子は美人すぎて 女学生(最上級生でも17歳よね?)には見えないな…
とも思ったけれども、
いすれにしろ 日本映画の名作に名を連ねる秀作であることは間違いない。
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