mixiユーザー(id:19500344)

2016年03月06日19:43

594 view

熊野修験春峰入り 那智山から本宮へ

今年もこの季節が来た。
熊野修験春峰入り、奥駈の始まりだ。
3月初めの奥駈が終わると、畑仕事が忙しくなってくる。
それまでののんびりだらだらムードではいられなくなる。
なまった体に鞭を打つのにちょうどいい修行の山歩きだ。

3月5日

那智山青岸渡寺で勤行をし、隣の那智大社でお参りしてから、青岸渡寺の横の熊野古道を歩きだす。
今日は晴れたり曇ったりの天気予報だ。気温は高くなるらしい。

フォト

フォト

フォト

フォト


100人ほどの参加者だ。
昔は地元の新聞に記事が載り、参加者を募った。また、前年参加した人にはお知らせのお手紙が届いた。
だが、熊野古道が世界遺産に登録されると参加者が一気に増え、200人近くにまでなってしまった。
それからは宣伝のようなものはなくなり、お知らせの手紙も来なくなり、私も一旦参加しなくなった。だが、またご縁があって参加させていただくようになった。
今でも口コミで広がって、毎年100人近い参加者がある。

参加者の多くは登山経験がある人だが、中にはそうでない人もいる。
今回も明らかに登山経験がなさそうな人がいた。手提げかばんにコート、靴も布製の普通の町で履くような靴だ。まさか、あの格好で歩き通すつもりなのだろうか?
「その荷物では歩きにくいんじゃないですか?」と聞いたが「平気です。」と言って、コートを入れてぱんぱんになったカバンを持って歩いていた。

他にも山慣れしていない格好の人が何人かいた。
初めて参加する人たちのようだ。

今回のコースは途中で何度か車道と交差する。サポートの人の車がそこに来てくれるので、体調が悪い人はリタイヤできる。不要な荷物も車で運んでもらえる。

足元にはバイカオウレンが咲いている。
奥駈ではゆっくり立ち止まって写真を撮る余裕はない。それでも、ちょっと列から外れて写真を撮った。
帰ってからパソコンで写真を見ると、八重のバイカオウレンだった。調べてみると、日当たりがいいと八重になることがあるそうだ。

フォト


途中で若い女性と話をした。彼女は和歌山県の観光交流課の人たちと6人で参加したそうだ。高木導師に誘ってもらったそうだ。山歩きの経験はないと言う。
山慣れない格好の若い人たちはこの仲間だったのだ。だが、他にも山慣れない格好の人がいた。

手提げかばんを持っていた男性はいつの間にか手ぶらになっていた。途中で荷物をサポートの車に預けたのだろう。手さげカバンでこの山道を歩くのはきつかっただろう。

大雲取越と小雲取越の間の小口で昼食だ。
私はBさん、Nさんの二人の女性と一緒に弁当にした。
このNさんは新宮市の方で、話を聞くとびっくりポンの関係があることがわかった。

フォト


Nさんが生まれた家が、娘婿のおばあちゃんの家のすぐ下の家だったのだ。
3歳で引っ越したが、たまに行くこともあるらしい。
東京に20年いたが、2年前に戻って来たそうだ。
「やっぱり東京よりもここのほうがずっといいですよ。」
彼女はヨガを教えている。たまたま来週色川でヨガ教室をすることになっていて、私も参加する予定にしていた。
講師の方とこんなご縁があったとはびっくりポンです。

10人以上の人がここでリタイヤした。

午後は桜坂の急登から始まる。
初参加のNさんは、「小口までにすればよかったかなあ」とちょっと弱気だ。
彼女はサポートをしている人から奥駈のことを聞き参加したそうだが、こんなにきついとは思わなかったそうだ。
登山経験はない。
「ヒートテックを着て来たら暑くて、途中で脱いだんですよ。やっぱり皆さん登山らしい格好をしていますね。」

「奥駈ってね、一人だったら歩き通せないような人でも歩けちゃうんですよ。歩かせていただくって感じですね。私も以前膝が痛くなって遅れたことがあったんですが、周りの方が一緒に歩いてくれたんです。それで歩き通すことができて、感激して涙が溢れたことがあるんです。その時から山登りに対する気持ちが変わりました。それまでは自分の力で登った、登れたと思っていたけど、登らせてもらったという気持ちになったんです。決して自分だけの力じゃないんですね。自然に人に感謝ですね。それに気づかせてくれたのが奥駈なんです。」

桜茶屋跡まで登り切った。
ここからは少しの登りはあるが、ほとんど下りになる。それを聞いたNさんはほっとした表情になった。

林道に出る。サポートの方たちがぜんざいを作ってくれていた。お菓子やお茶もある。

フォト
フォト

一息入れると、Nさんは少し先のトイレに行った。
出発の時間になっても戻って来ない。
最後を歩く山伏さんに「まだトイレから戻っていない人がいるんです。」と伝えた。
すると別の女性がトイレから戻ってきた。「私たちが最後です。」
あれ、Nさんは戻ってきたのだろうか?
気になったが、皆歩きだしていた。
前のほうを見るがNさんらしい姿は見えない。とは言え90人近くいるので前のほうの人は見えない。
後ろを気にしつつ歩くと、Nさんが追いついてきた。
やっぱりまだだったんだ。サポートの人が残ってはいたが、一人で追いかけるのは不安だっただろう。ちゃんと確認しなかったことが悔やまれた。

百間ぐらに着く。そこは展望がいい場所だ。
山伏のHさんがほら貝を吹く。絵になる。

フォト


後ろのほうを歩く人たちはペースが遅かった。
私はストックを1本Nさんに貸した。そして、ちょっとスピードを上げて前の人を追い越しながら歩いた。ゆっくり歩いたのでは自分には修行にならないと思ったのだ。

熊野川が見えてくる。あともう少しだ。

フォト


請川の国道に出る。ここから本宮大社までは歩くと1時間かかる。昔は、速い人は途中から走るようにして本宮大社に5時に着いた。
だが、最近は請川に着くのも5時過ぎる。もうここから車で本宮大社まで行く。

本宮大社で最後の勤行をする。12時間近くかかった。
高木導師の挨拶で今回の奥駈は無事に終了した。

フォト


心地よい疲労感で満たされていた。
さあ、今年も頑張ろう!!!

11 34

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する