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2016年03月03日18:48

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英国の夢 ラファエル前派展 2回目&幻想と頽廃のアンソロジー

どうしても、もう1度アーサー・ハッカーの『ペラジアとフィラモン』が見たかったので、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『ラファエル前派展』に行って来ました。
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・・・の前に、Bunkamura Galleryでやっていた『幻想と頽廃のアンソロジー』が凄かったです。
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↓幻想と頽廃のアンソロジーのHP 
http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/160302gensou.html

ロップス、ブレイク、クノップフ、ワッツ、伊藤晴雨、宇野亞喜良、ハンス・ベルメール、成田朱希、四谷シモンなどなど、「これでもか!」という耽美要素を持った作品群を並べておりました。
四ツ谷シモンの美少女人形も売っていてビックリしました。400万円近いので、おいそれとは買えませんが。買う人いるのかな?もう、シモン氏クラスの人形になると「美術館で見る人形」という印象になってしまっている。美少女を買う・・・。何かエロティックで良いですね。

伊藤晴雨の緊縛絵の画稿なんて初めて見ました。私は丸尾末広氏同様、晴雨は、SMパフォーマーとしては面白いと思うけれど、絵描きとしてはあまり興味がなかったのですが、初めて、彩色の緊縛絵の画稿を見て「美しいな。」と思いました。緊縛絵・・責め絵ですね。一様に美女が縛られ折檻を受けている絵。SM絵ですからね。デッサンも展示販売していたのですが、こちらも細かくて美しかったです。これは、まだ、頑張れば買えそうな値段でした。いや、私の財力じゃちょっと無理だけど(^_^;)。

ハンス・ベルメールの銅版画も沢山あった。線の綺麗さね。ベルメールと言えば、球体関節人形ですが、球体関節人形の写真は1点しか展示してなかった。係員さんに言ったら他にも出て来るのかも知れないけれど。

名前を失念してしまったが、あの少女のヌードを撮っていた人って、映画『ヴィオレッタ』で見た人かなぁ?

沢渡朔さんの『アリス』も、美しい少女写真なんだけれど、どこか不穏で彼岸っぽいよね・・と思ってしまう。やはり、そこには生と死があるよなぁ・・と。

四ツ谷シモン氏は、球体関節人形も売っていたが、人形のデッサン(デザイン?)ドローイングも展示販売していた。絵も美しかったですよ。
あと、多賀新があったのも胸熱だった。江戸川乱歩作品の表紙絵を思い出しますね。
ビアズレーも結構展示販売していた。てか、ビアズレーって普通に買えるんですね(版画だとは思うけど)。
ロップスの風刺画も面白かった。そして、版画とはいえ、ワッツの『希望』が見られたのは嬉しく、「コレ、欲しいな。誰か買ってくれないかな?私、そろそろ誕生日だし。」と思った(笑)。

バーン=ジョーンズや、ミレイ、ブレイクなど、ラファエル前派やヴィクトリア朝周辺の絵描きのモノが結構あったのは、ミュージアムの方と合わせたんでしょうかね?というか、この時期にこの展示販売をやったのは、やはり、ラファエル前派展に来るお客さん狙い・・でしょうね。耽美好きっていうか。まぁ、私もそうだけれど。

私の日記を遡ると、ラファエル前派展の詳しい感想日記は出て来るので、今回はもっと楽に書く。
メモも何もしないで、絵を見るだけだったら、そんなに時間かからないのかな?と思ったら、3時間費やして見ていたので、私はどうやってもじっくり見る派なんだな・・というコトが、判明した。

ラファエル前派は物語の絵です。やたら物語性が過剰。なんだろうね、この物語の過剰さ。本来は、「完璧と言われるラファエロ以前の素朴な絵画に戻ろうよ。」という英国で起こった美術運動なのに、結果、確かに素朴ではあるかも知れないが、やたら過剰に物語る絵になっていった・・と思います。
今回は、厳密に言うと、ラファエル前派とその周辺の絵描き展だとは思うが。ポインターやアルマ=タデマは、ラファエル前派ではなく、アカデミックなヴィクリア絵画寄りの人よね?ペルジーノもそうか。そんな人たちの絵も沢山来ていたので。そこからワッツのような象徴主義や、ムーアのような唯美主義、ニューラファエル前派みたいなラファエル前派第2世代の、バーン=ジョーンズや、ウォーターハウスまで行く。
流れが分かって面白いと思うけれどね。でも、「これ、ラファエル前派じゃねえよ!」って怒る人もいるだろな(^_^;)。

6日で会期終了なので、混んでるかと思ったら、前回来た時より人は増えていましたが、さほど混んでいなかったです。森アーツでやった時、あんなに混んでたのに、何だろうこの差?内容的には、私、森アーツでやった時より良いと思うんだケド・・・。やはり場所柄なのかなぁ?六本木ヒルズ自体が観光地だもんな。その差かな?ツイッターに「ミレイの『オフィーリア』や、ウォーターハウスの『シャーロット姫』のようなメジャーな絵が来てないからだ。」と言っていた人もいたが、バーン=ジョーンズのでっかい水彩画とか、凄い絵持って来てくれたんだケドね。

前述通り私は、もう1度アーサー・ハッカーの『ペラジアとフィラモン』が見たくて行ったのですが。
私は基本的に、ヌードと血が出てる絵が好きです。なので、ヌードで血が出てる絵だと凄く好きというコトになり、そうなると、殆ど、宗教画か歴史画になるんですケドね。キリスト様なんか、大体素っ裸で血を出して磔にされてますし。

アーサー・ハッカーのこの絵は、女性のヌードが大変美しい。ハッカーさん、やっぱり女性のヌード上手いと思う。白く輝く真珠のようななめらかな女性の裸体。でも、この女性は死んでいる。死体ですね。頭上には死んでるコトを表す光輪。足元には、修道士である兄のフィラモンがいる。このフィラモンの表情も良い。ペラジアの方を見てないんですよね。どこか遠くをじっと見つめている。左足の親指がグッと上がっているのは、力が入っているからだろう。手もギュっと握られ、力が入っているのが分かる。フィラモンはペラジアの死に耐えているようにも見え、怒っているようにも見える。
ペラジアの近くに、彼女の投げ捨てた金の腕輪が半ば砂に埋まって描かれているのも、アクセント。砂漠に裸体の美女に、何かに耐える美青年の修道士。耽美だ。そして、やっぱりこれも物語性が高いよね。

もう1人のアーサー。アーサー・ヒューズのガラハッド卿の絵も恰好良い。荒地を行く、剣を持ったガラハッド。ガラハッドの乗った馬が、ちょっと疲れているように見えるんだよな。「勘弁してくださいよぉ〜。」そんな感じ(^_^;)。
ガラハッド卿を香炉振って応援する3人の天使。「ガラハッド卿頑張って!」そんな感じなんでしょうかね?

でも、この2枚のアーサーはポストカードにはなっていないのだ。いいよ、いいよ、図録買ったから。

象徴主義だったら、ワッツのマグダラちゃんも好きだった。十字架が後ろに見えるので、キリストが磔になっているんでしょうね。十字架の足元にへたりこんで、上を見る、生気のないマグダラちゃん。絶望ってこんな感じなんだろうな・・・と思う。
ワッツは絶望感が漂った絵を描かせると上手いと思うんですが。有名な“希望”も、「あれ、希望って言うより絶望じゃね?」と思うもの。弦が1本になった竪琴に、必死に耳をそばだてて、その1本の弦の音を聴こうとしているのであろう、目隠しした少女。弦がまだ1本残っているから希望・・って言うのは分かるんですけどね。
余談だが、これ、丸尾末広氏がこの絵をパクって絵を描いていて、それも美しくて好きだったな。

ウォーターハウスは、ドレスの柄とか、草木とか割とザックリ描きしてるな・・と思ったり。それでも、遠目からみるときちんと絵!わざとそう描いているんでしょうね。
『魔法をかけられた庭』。ラファエル前派展に行くと、このモティーフの絵によく会いますよね。これも物語の1つなんでしょうか?魔女らしき人物が左スミにいるんだよな。

あと、やっぱり、ポインターの描いたプシュケの絵とテラスにての美女は、同一人物だよな・・と思ったり。顔が同じなの。同じモデルさんってコトよね?お気に入りのモデルさんだったのかな?

ラファエル前派周辺は人間関係・・特に女性関係がグッチャグチャで「昼メロかよ!」って思いますよね(^_^;)。山田五郎氏が以前「この時代の画家は良いなって思いますよ。やれ、ファムファタルだミューズだ持ち上げて、女性と好き勝手してんだもん。」って言っていたのを思い出します。
そんなドロドロの中から、美しい絵が生まれるんだもんなぁ。泥の中から綺麗な花が咲く蓮のようなモノか。

で、この人、女関係綺麗だなぁ〜・・って思ってたら、そいつは同性愛者だったりするワケだな。ええ、私の好きなシメオン・ソロモンがそれですね。今回は1点しか来てなかった。リバプールはソロモンの絵をあまり持ってないのかもしれない。
私、ソロモンの絵が好きなので、ソロモン中心の展覧会が開かれないかな・・と思ってるんですが・・・無理かぁ。
ソロモンは、やたら内省的な絵を描くと思っています。そして、やはり同性愛ムードは漂います。ソロモン自身がそうだから、表現しやすいのかもしれないケド。で、この人、公衆トイレで男性をナンパして、張っていた警察に現行犯逮捕される・・というベッタベタな捕まり方して人生棒に振ります。この当時は、同性愛は犯罪でしたからね、英国は。
その後、貧民窟の木賃宿に寝泊まりしていたらしい。でも、最後まで絵の道具は売らなかったらしいのよ。その後も絵は描いていたから。もう、画壇の中心部には戻れないのにね・・・。こういう人は、絵を描いてないと死んじゃう人なのかな?と思ってしまう。
そして、何か、キングのパーケンの人生と妙に被って、何だかなぁ・・と。自分の欲求を止められず、人生棒に振っちゃう辺りな・・・。犯罪だと分かっていても、止められなかった行為ですから。
今回来ていたソロモンの絵は、『泉の少女』で、水瓶で水を汲む少女の絵なのだが、少女の表情はうつろで、恍惚としているようにも見えて、水瓶というのは性的な意味合いもあり(女性の子宮を意味するらしい)、その水瓶に水を入れる・・という行為は、実はエロティックな行為の象徴なのでは?とのコトらしい。
とか言って、水汲みに疲れた女の子なので、こんな表情なだけかも知れない・・という想像も消せない私(笑)。

追加で、ポストカードを3枚買ってしまった。
そして、前回はなかったウォーターハウス缶バッチガチャガチャが増えていた。前回来た時は、ミレイ缶バッチガチャガチャしかなかったのに。今回はウォーターハウスの方をやってみた。何と、今回の展示作品の『デカメロン』缶バッチが当たりました。女の子の部分しか入ってないのね。あの、ミュージシャンみたいなイケメン君たちは入ってないのか。

あと、前回、薔薇と十字架モティーフのメダイ(メダイユ)を売っていて、それがあったら買おうと思ったら、なかったです。売切れちゃったのね・・・。買っておけば良かったかな?
メダイってキリスト教徒のお守りみたいな物だよね。前回十字架メダイを買ったので、パーツ屋でパーツを買って来てブローチにしようかと思っています。

色々欲しい物はあったのですが、「落ち着け〜!!あんたこれから、伊藤若冲展とカラヴァッジョ展がある〜特にカラヴァッジョ!テンション上がってどうせ、散在する!」と自分に言い聞かせて我慢しました。
の割に、ガチャガチャ2回もやってるんですが・・・。

ラファエル前派展は6日まで、幻想と頽廃のアンソロジーは9日まで。
この後私は、SHERLOCK〜忌まわしき花嫁〜の2回目の鑑賞をしてきたので、何か、英国な1日になってしまいました。まぁ、偶然なんですケドね。
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