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2016年02月02日00:21

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読書メーター2016年1月のまとめ。

2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3761ページ
ナイス数:16ナイス
http://bookmeter.com/u/415770/matome?invite_id=415770

■わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
産まれたときから晩年期である人たちが,その晩年期の中でも何らかの希望を見いだせるかについての物語,とでも言えば良いだろうか。▼何故逃げないのか,何故抗議しないのか,何故戦わないのか。その疑問は,少年期・青年期・壮年期にある人には通用には通用するだろうが,産まれながらに晩年期にある人には通用しない。そして,この物語の登場人物たちは,産まれながらにして晩年期にあるのだ。▼ある種の「人間牧場」というアイディア自体は,既に珍しいものではなくなっている。この作品のすごさは,その背後に流れる静けさにあるのだと思う。
読了日:1月3日 著者:カズオ・イシグロ,土屋政雄
http://bookmeter.com/cmt/53044514

■獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)
読了日:1月4日 著者:上橋菜穂子
http://bookmeter.com/b/B00AJCM55W

■獣の奏者 II王獣編 (講談社文庫)
聞くところによると,「獣の奏者」はこの「王獣編」で完結する予定だったとのこと。たしかに,この王獣編の最終章の標題は「終章」であり,お話としてはここで区切りがついている。▼この物語のメインテーマではないかもしれないが,人間が人間以外の動物と共に暮らすということの意味について,考えさせられた。王獣を,闘蛇を,野生にあるのと同様の状態に保ちつつ人間が飼うことができるかどうか。それは,この現実世界でも,人に飼われる犬や猫が果たして本当に幸せであるのかという,未だに私には分からない問題につながるような気がした。
読了日:1月6日 著者:上橋菜穂子
http://bookmeter.com/cmt/53148326

■獣の奏者 III探求編 (講談社文庫)
読了日:1月8日 著者:上橋菜穂子
http://bookmeter.com/b/B00AJCM5BG

■獣の奏者 IV完結編 (講談社文庫)
あとがきの「〈闘蛇編〉〈王獣編〉が「人と獣」の物語であるとすれば,〈探求編〉〈完結編〉は,「人々と獣たちの歴史の物語」なのかもしれません」との作者の言葉が,ストンと腑に落ちた。▼人は,有害な知識や技能を知りつつ制御できるか。不可能じゃないのか。例えば,完全世界平和達成のためには「戦争」という概念を人間社会から抹消するしかない(星新一「白い服の男」)のではないか。▼エリンもセィミヤも,制御できると信じた。▼では,我々は,きちんと制御できているか。例えば原子力に関する技能をきちんと制御できているだろうか。
読了日:1月10日 著者:上橋菜穂子
http://bookmeter.com/cmt/53233930

■獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)
作者はあとがきで「自分の人生も半ばを過ぎたな,と感じる世代に向けた物語になったようです」と記していらっしゃる。▼私は,年齢では既に人生の半ばを過ぎているが,人生の半分を過ぎたという実感を持てずにいる。▼この番外編に流れる,誰かを想うことの辛さ,辛くても止められない想い,そういうことを実感しない限り,私の人生は充実したものにならないのだろう。エリンやエサルと比べ,我が人生の何と空疎なことよ。▼でも,エリンもエサルも「獣の奏者」を読むことができなかったのだから,その点だけは私の人生の方が充実している(笑)。
読了日:1月12日 著者:上橋菜穂子
http://bookmeter.com/cmt/53288136

■人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)
人工知能研究がどんな壁に突き当たりどうやって乗り越えてきたのかが,分かりやすく解説されている。▼ただ,専門用語の翻訳がうまくないのは気になる。「特徴量」「特徴表現」とは何か,字面からはよく分からない。▼IBMのディープブルーがチェスチャンピオンであるカスパロフを破った頃には,人工知能はまだ,人工知能作成者たちの知能の表れだった。しかし,最近の人工知能は人の手によらずに自ら有用な知識を習得しうる可能性があるという。▼それでも,知能はともかく生命は生み出せないから,ドラえもんや鉄腕アトムの出現にはほど遠い。
読了日:1月15日 著者:松尾豊
http://bookmeter.com/cmt/53365959

■議論のルールブック(新潮新書)
自分の言ったことが相手に伝わるのが当たり前だという観念を捨てる。自分の意見にケチをつけられたことを喜ぶべき。議論に正解はなく,議論の結論とは各自で結論を考えるための判断材料でしかないことを認識する。▼この本に書かれているルール全てを会得できたらすばらしいけど,ちょっと難しいルールもあるような気もする。▼「匿名の発言はただのゴミ」だとしても,自分の意見に対してネット上の大勢の匿名者からひどくケチをつけられれば傷つくし,感情的に反発したくもなるだろう。▼なお,インチキ理論提唱者への対処法は,実用的。
読了日:1月20日 著者:岩田宗之
http://bookmeter.com/cmt/53477280

■窓のあちら側 (ふしぎ文学館)
あゆみちゃんのお話を久しぶりに読んで,懐かしくもあり嬉しくもあり。▼「グリーン・レクイエム」も「雨の降る星 遠い夢」も,実は,他者の命を奪いながら生きるという,人間存在の根っこにある罪を扱っている。しかし,「グリーン」のほうは恋愛小説風に,「雨の降る星」のほうはコメディタッチに描かれていて,その深遠なテーマにからみ取られずに読むことができる。▼30年近く前に読んだこのお話のテーマが自分の中に未だに根を下ろしていることを,再確認できたのは良かった。▼単行本未収録のお話を初めて読めたのも,良かったかな。
読了日:1月22日 著者:新井素子
http://bookmeter.com/cmt/53527686

■多数決を疑う 社会的選択理論とは何か (岩波新書)
「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」(ウィンストン・チャーチル)▼この本を読んで、民主主義のルールは絶えざる見直しを要する、という文脈で捉えるべきだろうと思った。▼公職選挙当選者の「民意は私と私の政策を支持している、私の政策を覆したいなら私を落選させれば良い」との発言への違和感の理由が、分かったような気がする。▼取り敢えず現行公職選挙制度のもとでは、当選可能性ある候補者のうち最もましな人に投票するしかないのだろう、と思った。
読了日:1月24日 著者:坂井豊貴
http://bookmeter.com/cmt/53585158

■影との戦い ゲド戦記 (岩波少年文庫)
子供の頃、ドリトル先生シリーズの愛読者だった私にとって、巻末に広告が載っていた「ナルニア国」シリーズと「ゲド戦記」シリーズはいつか読んでみたい本だった。しかし、大学生の頃に読んだ「ナルニア国」が全く肌に合わなかったことから、「ゲド戦記」も何となく敬遠していた。▼最近になってゲド戦記に取りかかってみて、「ナルニア国」ほど「面白くねぇ〜」とは思わなかった。しかし、ゲドの為人がよく分からないうちに、第1巻を読み終えてしまった。▼例えば、ゲドはどうして、オジオンをあれほど敬愛しているのだろう、とか。
読了日:1月28日 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン,清水真砂子
http://bookmeter.com/cmt/53676360

■こわれた腕環 ゲド戦記 (岩波少年文庫)
1巻とは異なり,テナー(アルハ)の為人は比較的分かるようになっている。▼テナーが,アルハとして犯した罪の重さをきちんと覚えており,それが故に苦悩する描写があったのは良かったと思う。▼旅立つ前のテナーの苦悩を,自由に伴って生じる重荷として表現するのは,ちょっとこじつけに過ぎやしないか,という気もした。テナーが短剣を握った気持ちは,説明されれば理解はするが,そこに至る描写がもっと丁寧であっても良いのでは,と。
読了日:1月31日 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン,清水真砂子
http://bookmeter.com/cmt/53760022


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