「春子超常現象研究所」 ’15
監督･脚本：竹葉リサ 衣装監督：Mikio Sakabe 音楽：藤永憲太郎
ｍ：中村蒼，小日向文世，ブラザートム，池田鉄洋，斎藤工
ｆ ：野崎萌香，青木さやか，高橋由美子
『さまよう小指』の竹葉リサの新作。
好きな男の小指を培養してクローン男を作る…というトンデモ話の次は
ある日突然部屋のテレビが意志と男性の肉体を持って
持ち主の春子と暮らすことになる…というトンデモ話で、
ギンギラ太陽’s よろしくテレビ(チャンネル式！)の被り物を被った中村蒼が
裸エプロンで料理するのだ !! (笑)
これはマンガでもアニメでもラノベでも面白さ半減、
生身の俳優が被り物を被って演るから面白い！ 舞台か映画向き。
しかもお話を語る―って映画ではないから
“ねぇねぇ これって面白くない？”的なコントを
女の子仕様の色味やファッションや音楽で見せちゃいますよ〜♪
お楽しみくださいね〜！ みたいな映画なのだ。
舞台だと 相当な遊びがあったとしても
ラストにはしっかりいい話に持って行くとか感動させるとかありそうだけれど、
竹葉リサの映画は何というか
コントを並べて適当に終わればいいや…みたいな設えで、
女の子仕様の“おバカ映画”なんだと思う。
斎藤工の「お兄ちゃん」に笑った！
面白いよ。
「傷物語�� 鉄血篇」 ’15
総監督：新房昭之 監督：尾石達也 原作：西尾維新 ｱﾆﾒ：シャフト
西尾維新〈物語〉シリーズの１作にして
物語の起点に当たる事件の顚末が明かされる…ようだ。
というのも、思惟太は小説はもちろんアニメも観ていないので
本シリーズに関する情報も知識もないからだ。
実は何回かＴＶ放映を観たことがあるのだが
キャラデザインのよさ、演出の新規さは非常に魅力的だが
自意識の高さが透けて見える妙にインテリじみた分析調の独白が
この歳になるとむず痒くて居心地が悪い。
よって続けて観ようという気にならなかったのだけれど、
本作は物語の起点ということで
シリーズの展開を全く知らなくても観られるらしい…と出かけてみた。
委員長のおっぱいがやたらにデカくなってるような気がする…(笑)のはともかく、
“物”に過剰な意味を持たせる演出は
「私」と「他者」しか存在せずこの二者の思わせぶりな対話だけで
展開するお話をいよいよ意味深にして、
これがまさにこのシリーズの吸引力になっている。
廃墟や駅構内や公園や自宅…といった場所も記号化され
“そこで起こること”が繰り返し反芻される仕様で、
可逆性というゲーム的感覚は
“私という自意識の高まり”に悶々とする思春期にとって
実に好ましい装置なのだな…と納得する。
ちょっと賢そうに見える小利口な喋りも意識・教養の未熟を衝いて
思春期ど真ん中の青少年にはツボだろう。
演出の面白さは評価するものの
この思春期仕様がどうも気持ち悪いのはＴＶシリーズと一緒。
10代で観ていたらハマってただろうな…。
印象としては
押井守「御先祖様万々歳」に似ている。
そもそも新房昭之の演出が舞台演出のようだからね。
似ているのは当然かも。
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