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2016年01月10日14:30

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「超論暴論」外論〜村上孝雄氏が選手獲得に当たって重視した事は?

 「超論暴論+(プラス)」で先日来世に旅立たれた宮川孝雄=村上孝雄氏について書いたが、そこでは現役時に代打の切り札「宮川孝雄」としての活躍について取り上げた。ここでは敏腕スカウトとしての「村上孝雄」について記すが、主に九州地区を担当し(村上氏の自宅は福岡・北九州市である)、スカウト部長も歴任した村上氏は通算200勝を挙げた北別府学氏や通算2000本安打を達成した前田智徳氏という2人の名球会会員の他、現在の指揮官である緒方孝市監督に彼を補佐する高信二ヘッドコーチ、そして「炎のストッパー」と呼ばれた今は亡き津田恒実氏らを獲得した事は有名な話である。
 村上氏が選手獲得に当たって重視した事は数項目あるが、その最初は「まともにキャッチボールができるか?」という事であった。キャッチボールはひじの使い方や球を離す位置がきちんとしないと、球がとんでもない方向へ行く。「投手がゴロを処理した後に悪送球をするというのは、キャッチボールの基本ができていないために起こる」と村上氏は語るが、それはうなづけるであろう。
 次に重視したのは「男前であるか?」という事であるが、正月早々に記したようにサル顔の多いカープでも、九州出身の選手は割に整った顔が多い。村上氏が獲得した選手の中で例外は前述の津田氏くらいであるが、そこからさらに重視したのは公立高校の野球部員という事である。宮崎・都城農業高校出身の北別府氏に熊本工業高校出身の前田氏、山口・南陽工業高校の津田氏に佐賀・鳥栖高校出身の緒方監督、そして高ヘッドコーチは福岡・東筑高校出身と皆公立高校を出ているが、村上氏は「昔の九州の私立高校は『勉強ができなくても、野球さえできれば良い』という学校が多かった。公立はそこそこの学力がないと入れないが、たとえばコーチが最初に2つの事を教えた後、1ヵ月経って3つ目を教えようとしたら、前の2つをすべて忘れてコーチが怒ったという例もある。やはりおつむが悪いと野球はできない」と説明した。
 最後の項目は「両親がどんな人か?」という事であるが、村上氏は「父親は厳しい人で、母親はしっかりした人」と語って、北別府氏の家庭を例に挙げた。父親は薩摩隼人を絵に描いた人(とは言っても、実家は大隅の曽於市であるが)である北別府氏であるが、母親は国境を越えて日向国の都城農高まで自転車通学をする北別府氏に昼食代500円を渡し、残りがあればすべて回収させたという。残りが少なくとも取り上げたのは「ちりも積もれば山となる。たとえ少なくとも、それで悪い事に使われないよう」という理由からであるが、「こういった金銭面でしっかりとした人は、子供もしっかりする」と村上氏は話し、実際に獲得した選手は社会人としてきちんとしていた選手が多かったそうである。
 考えてみれば、カープのいわゆる「九州閥」の選手はたとえ大成しなくとも、現役を退いてから球団職員としてしっかりした仕事をこなしている者が多い。松田元オーナーは「九州から輩出した選手は宮川=村上さんが獲得し、緒方監督や高ヘッドコーチが就任した時は喜んでいた。それだけに、今回の訃報を聞いて『まだ早い』という思いがする」と村上氏を偲ぶが、それはファンも同じ思いであろう。今後村上氏には、スカウトの後輩たちの活動と彼らが獲得した選手の活躍を来世から見守ってほしい。本当にお疲れさまでした。


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