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2016年01月09日22:15

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「放浪の画家ピロスマニ」 「ディーン、君がいた瞬間」 「マイ・ファニー・レディ」 「ストレイト・アウタ・コンプトン」 「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」

  新年早々から日記が飛んでごめんなさい。
昨日が夜勤明けだったので映画には出かけずに
ゆっくり「ベスト20」選びでもしよう…と思っていたら、
なんと!若い同僚たちが「4DX」で「SW」体験をしようとして購入したチケットが
1枚余ったので一緒に行きましょう!と誘われて、
そのうち観ればいいや…と思っていた「〜フォースの覚醒」を
観ることになったのでした(笑)。

…サイアクだった…!
映画を観るにはあまりにうっとうしい仕掛けだった…!
もう一遍普通にちゃんと観ないと
映画がよかったのかどうか判らん!!
5日くらい前から予約しないとチケットが取れないくらい
4DXは常に満席みたいだけど
映画を観る害にしかなっとらんじゃないか!
いや、これはね
一緒に観た若い同僚も同意見だったですよ。
タダで観たって文句は言うぞ!
サ ・ イ ・ ア ・ ク !!!!!

ということで
まだ「ベスト20」ができておりません〜。
(実はもう一度第一次選考からやり直したりしてたのよ…(汗))
でも 映画は観てるので
とりあえずそちらの感想を。





4日は 「放浪の画家ピロスマニ」
     「ディ−ン、君がいた瞬間(とき)」、

5日は 「マイ・ファニー・レディ」
     「ストレイト・アウタ・コンプトン」、

6日は 「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」を観に行きました。





「放浪の画家ピロスマニ」 ’69 (グルジア)

監督:ギオルギ・シェングラヤ

ピロスマニの伝記映画なのだが
69年製作 日本公開78年だというこの映画を観ても
少なくとも思惟太は
ピロスマニがどういう人生を送ったのか…?よく解からなかった。
というのは、映画は画家の半生をドラマとして語るのではなく
ピロスマニの作品を映像で再現するかのような作りで
グルジアの地勢と動物、人々の暮らしを
静謐で美しい画にしているのだった。
どのカットも一幅の絵のようで
ただ眺めているだけで うっとりと満たされた気分になる。
間違いなく本年度最初の重要なリバイバル作品である。





「ディーン、君がいた瞬間」 ’15 (加・独・豪)

監督:アントン・コービン
m:ロバート・パティンソン,デイン・デハーン

雨のニューヨークの街路を肩をすぼめて歩くジェームズ・ディーン―
あの有名な写真が撮られることになった経緯が語られる。
1955年「エデンの東」のプレミア上映が行われる頃(一般公開は3月)
「理由なき反抗」の主演獲得が決定する直前―のお話で、
この後 その「理由なき反抗」と「ジャイアンツ」を撮って
9月に彼は交通事故で逝ってしまうのだから、
ジェームズ・ディーンが どれだけ短期間に
ハリウッドを駆け抜けたか…?が分かろうというものだ。
件の写真を撮ったマグナム・フォト所属のカメラマン
デニス・ストックの語りで浮かび上がるのは、
まだ決定的な世間の評価を獲得してはいない
金はないが成功への野心に溢れた24歳と27歳の若い男たちの危うさで、
圧倒的に人間が足りていないがゆえに頼りなく魅力的で
不安で不遜で美しい彼らの在りようを
アントン・コービンは摑まえているのだ。
退いた画はほとんどストックが写真を撮るシーンで、
美々しいモノクロ作品として有名になる数々のショットが美味しい。
中近距離の多いカラー映像が語る1955年は
絶妙にコントロールされた照明によって
2人の若い男の未熟さに陰影をつける。
『コントロール』にしろ『誰よりも狙われた男』にしろ コービンは
内奥の不安にさいなまれる人間の佇まいを掬っていて
それが美しい。
ロバート・パティンソン,デイン・デハーン共
今最も目を離せない、出演作が気になる俳優。
彼らをアントン・コービンがどう撮っているか…?
そういう興味からも観られる映画である。





「マイ・ファニー・レディ」 ’14 (米)

監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本:ピーター・ボグダノヴィッチ,ルイーズ・ストラットン
m:オーウェン・ウィルソン,リス・エヴァンス,ウィル・フォーテ
  ジョージ・モーフォゲン,オースティン・ペンドルトン
f :イモージェン・プーツ,キャスリン・ハーン
  ジェニファー・アニストン

ピーター・ボグダノヴィッチの新作は上質なコメディ。
ウェス・アンダーソン×ノア・バームバック プロデュースというところからして
上等な感じがしない?(笑)
話題の新人女優イジーがベテラン芸能記者のインタビューに答える…という体裁で
女優を夢見る娼婦イジーを中心に彼女に関わる男女8人の
セックスがらみのコメディが展開する。
罪も毒もない純粋に可笑しい艶笑コメディって
こんなに面白かったっけ…?と思ってしまうくらい
笑えて 笑えて 笑えてしまう大人なコメディは
ボグダノヴィッチのいわゆる“映画愛”をシネフィルよろしく解さなくても
十分十二分に面白いはずで、
贅沢なカメオ出演を楽しみながら
戯画化されたキャラたちの人間くささに笑い
こっそり共感しもする
本当に上等なコメディである。
まぁ 演じる役者たちが楽しそうだよ!
エルンスト・ルヴィッチの『小間使』って映画の台詞が
キーワードになってるんだけど(思惟太は観たことないぞ)、
その映像が最後に流れるから席を立たないで…ね(笑)。





「ストレイト・アウタ・コンプトン」 ’15 (米)

監督:F・ゲイリー・グレイ

ヒップホップ・グループ「N.W.A.」の誕生から成功
仲間内の不穏から分裂…の経緯を描くドラマ。
思惟太はもちろん「N.W.A.」を知らないし
ギャングスタ・ラップが何なのかも知らなかったわけだけれど、
いや 何も知らなかったからこそ
胸に応えた。
麻薬とギャングがはびこり通りを歩いてもスクールバスの中に居てさえ
何時殺されてもおかしくないような環境…
そんな未知の想像すらできない環境を“わが街”として育った黒人男子が
日々紡ぎ出す言葉に彼らの“真実”が溢れ出し
回す円盤が刻むリズムに乗る声が“憤り”を歌うのを
ただじっと眺めるしかない映画なのだが、
暴力と警察の横暴と 成功と成功のシステムを手に入れることと
成功の代償と仲間割れと…お約束みたいな成り行きの
それらの向こうに覗く“コンプトンで生きるということ”に
打ちのめされてしまう。
いちいち体当たりで傷つき血を流しながらでしか事態を乗り越えて行けない…
そういう痛々しい愚かさに伴走していると、
この音楽は彼らのもので
我々東洋人の部外者が軽々に触れ得るものじゃないんじゃないか…
とさえ思ってしまうのだ。
それはつまり
この映画が「N.W.A.」と彼らが世界に与えた影響を
正しく摑まえているということなんじゃないか…?
1986年、早過ぎる検証―と思わないでもないけれども、
ここに描かれる“コンプトンを生きること”を眺めていると
たぶん息子の世代が父の世代を演じることに意味があるような気がする。
それにしても…
ポール・ジアマッティがまたしてもマネージャーを演っていた…!





「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)」 ’14 (ハンガリー・独・瑞)

監督:コーネル・ムンドルッツォ
m:シャーンドル・ジョーテール
f :ジョーフィア・プショッタ
ハーゲン(犬) :ルーク&ボディ

’14 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 グランプリ,パルムドッグ賞

雑種犬に重税を課すという悪法が施行されたある街。
離婚した父の元に預けられた少女リリは愛犬ハーゲンを捨てられてしまう。
リリは必死で彼を探すが
ハーゲンは過酷な運命に遭遇していた―というお話。
なんかね…動物がひどい目に遭う映画って観るのが辛いのよね。
『バルタザールどこへ行く』も辛くて観られない…。
ハーゲンが経験する事態はまるでマンガで想定内のことばかりなんだけど
辛くて哀しくてドキドキしてしまった。
ハーゲンの運命とリリの物語が並行して語られるのだけれど
リリは無理解な父や横暴なオーケストラ指導者の抑圧に抗するというより
諦念のように彼らの下に屈して行くわけで、
ハーゲンの“人間への復讐”が始まって初めて
“私”を得るのだ。
愛犬ハーゲンの飼い主である“私”ではなく
“怒れる魂”である犬に対峙するための人間である“私”を。
そのラストの荘厳なる奇跡は
観て 震撼していただくしかないのだけれど、
CGの無力を思い知るぞ!
250頭の犬が石造の街を疾走する映像を観たら!
保護施設から集められた犬たちを訓練して撮影したらしいのだが
250頭の犬が人気の消えた街路を走る―というのは
バッファローやフラミンゴの大群が生息域で移動する―というのと違って
とにかく異様な事態だから、
画的インパクトがすごいのよ!
しかも愛らしくスマートなダルメシアンじゃないからね!
ホントだったら年末に観ていたはずの作品。
「ベスト20」の選外くらいには食い込みそうな
力のある映画なのだ。
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