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2015年12月27日12:50

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科学の負の側面を直視してこそ、人間は飛躍できる

科学の負の側面を直視してこそ、人間は飛躍できる。そのためのエネルギーも持ち合わせている。

北海道新聞〝卓上四季〟より

大阪万博の開かれた45年前は、日本の原発にとって画期的な年だった。

福井県内でも運転が始まり、早速、万博会場にもその電気が引かれた。
主催者は「人類の進歩と調和」という万博のテーマにぴったりと考えていたようだ。

しかし、万博プロデューサーだった画家の岡本太郎さんは、テーマそのものに懐疑的だった。
「人類は進歩していない」。

同じころ、核実験で被爆した第五福竜丸が題材の壁画「明日の神話」を完成させている。
真っ赤な核の炎はグロテスクだが、天に向かって飛び立つ生き物も描かれている。

科学の負の側面を直視してこそ、人間は飛躍できる。そのためのエネルギーも持ち合わせている。
初心の大切さを訴えたかったらしい。

もちろん初心に帰れと言われても簡単ではない。
年月が経て、苦い記憶が薄れたり、見通しが明るかったりすると、とかく反省心が鈍る。

高浜原発の再稼働を事実上認める福井地裁の決定を喜ぶ電力会社の姿を見て、そう思う。
「原子力村」は福島第1原発事故であれほど反省を口にしていたのに。
むしろ最近の状況を見ていると、原発回帰への流れが太くなった気がする。

岡本さんは言う。
「究極は純粋に凝視する眼(め)。
見きわめれば見きわめるほど、怒りが深くなる。
すると怒りは豊かに、透明になるのだ」（「眼美しく怒れ」）。

そのお姿のように目をカッと見開き、本質を見抜きたい。