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2015年12月27日22:37

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「景気回復の幻想」が下支え

（安倍政権は公的年金による株の買い進めなどで）株高が続くことで、いずれ自分たちの生活も改善するという幻想を抱かせ、支持につなげている。
国内の経済基盤が弱まっていくのは周知の事実なのに、強い日本経済への幻想にすがりたい人がいて、幻想を振りまく首相がいるという構図だ。

国政選挙では野党が分裂していることで、結果的に自民党の独り勝ちを手助けしている。選挙で勝つたびに首相の求心力は高まる。
来夏の参院選はこうした安倍政権の３年間に評価を下す貴重な機会でもある。

北海道新聞の記事〝安倍政権３年〟より一部抜粋

三浦まり・上智大教授(政治学)
「景気回復の幻想」が下支え

安倍政権が支持率50%前後を維持している理由は主に三つある。

一つは経済政策「アベノミクス」を前面に出し、公的年金による株の買い進めなどで株高が続いていることだ。
だが、恩恵を受けているのは大企業や株保有者ら一部。
労働者の実質賃金は下がり、中間層や低所得者層の生活は悪化している。
それでも株高が続くことで、いずれ自分たちの生活も改善するという幻想を抱かせ、支持につなげている。

首相は「景気回復の温かい風を全国津々浦々にまで届ける」と繰り返し、自ら経済界に賃上げを要請する場面もつくった。
少子高齢化が進み、国内の経済基盤が弱まっていくのは周知の事実なのに、強い日本経済への幻想にすがりたい人がいて、幻想を振りまく首相がいるという構図だ。

二つ目は、対抗馬が野党にも自民党内にもいない点だ。
国政選挙では野党が分裂していることで、結果的に自民党の独り勝ちを手助けしている。選挙で勝つたびに首相の求心力は高まる。
総裁選が無投票になったように党内にもポスト安倍は不在。ほかに選択肢がないことも政権の支持を下支えしている。

もう一つは「脱戦後」を打ち出した第１次安倍政権(2006～2007年)の失敗から学んでいることが大きい。

賛否の分かれる改憲などで以前のように前のめりにならず、経済政策が選挙の争点になるように政策を出す順番を考えている。
昨年の衆院選も「消費税率引き上げ時期延期の是非を問う」とうたった。

だが、選挙では経済政策を問いながら、選挙後は安全保障関連法を成立させ、集団的自衛権の行使容認に踏み切った。
来夏の参院選はこうした安倍政権の３年間に評価を下す貴重な機会でもある。