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2015年12月10日22:51

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お伊勢講

今日は興味の赴くままにまとまりのない文章を書き殴ってますので、気楽に読み流してください。

アートミーツケア学会から新しい本が送られてきました。その中で坂倉杏介さんが都市のコミュニティについて論考を書いていて、江戸時代には「講」という独特の都市コミュニティが存在したことを紹介しています。この「講」について何となく興味を持ったので、ここに記しておきます。

江戸時代には、伊勢信仰、富士山信仰などさまざなま信仰がありました。ですが庶民は決して豊かではないため、信仰のために個人で旅行することは困難でした。そこで「講」と呼ばれる互助団体のような集団を作り、毎年くじ引きで決めた代表の人がお参りをし、「講」のメンバーが旅費を出し合っていたのだそうです。伊勢参りのために集まった人たちを「お伊勢講」と呼び、他には富士講とか、僕の地元の成田山へ行く成田講なんてのもあったようです。

講においては代表者の旅費を全員で負担しますが、その旅費をすべて使い切ることは稀で、実際にはお土産を買って帰り、そのお土産を肴にみんなで宴を楽しんでいたそうです。江戸時代の人が貧しくても一生に一度は旅行をできたのは講のおかげで、講には娯楽としての側面も大いにあったようです。

僕がなんで講に興味を持ったかというと、現在と比べて娯楽の少ない時代に、信仰をとっかかりとして皆で楽しむことを通じて都市コミュニティが形成されていたという点が面白いと思ったからです。人と人とを結びつけるのは皆で笑いあえる時間であるということを昔の人も良く知っていて、巧みに生活の中に取り込んでいた知恵に感銘を受けました。

現代の日本の都市では、特に高齢者の人と人との結びつきが希薄で、どのようにコミュニティを形成するのかは大きな課題です。僕が「ユーモアセラピー」という講演を始めたのも、笑いを通じて高齢者のコミュニティ形成に寄与したいというのが理由ですが、昔の人々の知恵が何か役に立つのではないかという気がしています。

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