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2015年12月06日01:37

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いまさらキャノネットQL17

 私のカメラ初体験はコニカの一眼レフ、コニカFP だった。露出計の無い完全マニュアルのカメラだったがフィルム感度をメモしておくダイアルがあって、時々ぐりぐりして遊んでいた。 DPEのおばちゃんが 800 とかになっているそのダイアルを見て驚いていたが、おばちゃんにしてみればなんでそれで写真が撮れるのか理解出来ないし、私も何が問題なのか理解出来ないしで、噛み合わないトンチンカンな問答があったように記憶している。

 その後ペンタックスの SP をしばらく使う。こいつは露出計が付いていたが、大好きな夜景撮影(バルブで1分露出とか)で役に立たないので、それほど便利とも思わなかった。それでも FP より軽くコンパクトで優しいシャッター音の SP は、なんだか貴婦人のようでかなり気に入っていた。 数ある一眼レフの中でも最もフォルムの美しいカメラのひとつだと今も思っている。

 写真部に入るとみんな当たり前のように一眼レフを買った。私も当時の最新機種ペンタックスの MX を親父に買ってもらった。 SP でいいのに、と思ったが、まぁ自分のカメラは欲しかったので。写真部では私より上の世代はニコンが絶対で、私より下はミノルタが人気だった。また上の世代は望遠を買い、下の世代はズームを買った。ペンタックスに広角付けっぱなしの私は、機材も作風もかなり異端であった。

 高校の写真部でそこそこ充実した日々を過ごした私は、卒業を目前にして何か大きな忘れものをしたような思いにかられる。そして唐突に初めてのコンパクトカメラ、キャノネットQL17 を中古で買う。値段は覚えていないが数千円だったのではないか。この機種を選んだ細かい経緯は忘れてしまったが、レンジファインダー搭載、一眼レフ並みの明るいレンズ、EE なのにフルマニュアル可能、などなど、充実したスペックを見て喜んだのは明らか。その後買った二代目コンパクトのチノン・ベラミとはある意味で対極だ。

 一眼レフと違う撮影スタイルが新鮮だったものの、一眼レフの MX を凌駕するその重さに辟易して、結局最後はバラバラにして遊んでしまった。動作するカメラをわざわざ壊したのなんて初めてだが、今思い出しても不思議なくらい「惜しくない」カメラだった。全体に色乗りがあっさりしていて、何より逆光に弱いのが痛かった。一眼レフならフレアーも確認しながら撮れるのに、レンジファインダーは上がった写真でがっかりするのでショックが大きい。

 その QL17 に、ハードオフで突然出会った。もちろんジャンク。レンズにカビはあるがシャッターは切れる。こんな希少なカメラに出会うなんて運命だ、とレジに走る。帰り道、車の助手席に転がった裸の QL17 の、あぁなんと愛しいことよ。この手の金属カメラは転がしておくとサマになる(笑) まるで昔の恋人を助手席に..と言いたいところだが、その恋人はさっさとバラして部品すらも残っていない。なんだか諸星大二郎の世界だ。家に帰って調べてみると当時世紀の大ベストセラーだったそうで、後の AE-1 や AutoBoy よろしくバカが付くほど売れたらしい。どこが希少か。

 少しいじってみたが、ファインダーに曇りがあり、シャッターには注油が必要だ。幸い電池室の腐食は無い。もうフィルムを通すことも無いだろうが、出来る範囲でメンテしてあげようか。釣りカンが片方無くなっているところを見ると素人が一度開けたものかも知れない。ネットにはそこそこ情報があるから、まぁ老後の楽しみに取っておこう。レンズキャップがどこかに残ってないかな。

 ところで。

 世にフォールディング・カメラと言うのがある。もしくはスプリング・カメラでもいい。蛇腹の付いた、あの如何にも「クラシックカメラでござい」な佇まいの奴らだ。 6x6 や 6x9 なのに安い。安いのに良く撮れる。小さくて軽い。難を言えば扱いにくい。俄然興味が出て来た。なんたって120が使える。うっかりすると116とか620のを掴んでしまいそうだが、少しジャンクショップ巡りをしてみようか。
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