昨日の夜は鎌倉市中央図書館で、フルートの吉川久子さんのコンサート。ぼくはまず裏駅の山内静夫さんの自宅に伺った。山内さんのことは何度も書いているが、白樺派の文豪、里見��先生の息子さんで、松竹で小津安二郎の映画のプロデューサーを務め、鎌倉文学館の先代館長だった、鎌倉の名士中の名士。ぼくは息子のように、吉川久子さんは娘のようにかわいがられているという関係。山内さんは数年前に脳梗塞で倒れられ、半身が不自由なのでぼくが自宅まで迎えに行き、車椅子を押しながら、図書館に出かけた。
吉川久子さんはフルート演奏者。鎌倉育ちで、JR鎌倉駅の発車メロディ、童謡「鎌倉」の演奏も務めていたり、マタニティコンサートの草分け的存在で、秋篠宮殿下、紀子様の御前で演奏したり、海外でも多くのコンサートをしている、凄いミュージシャンなのである。
コンサートのテーマは「鎌倉と文学」。図書館の一角に鎌倉在住の作家の本のコーナーが設けられ、里見��先生、山内静夫さんの本に混じって、ぼくの本も置かれていた。
コンサートは吉川久子さんのフルートと千代さんのギターのデュオ。「鎌倉」、「赤とんぼ」、「道草」、「ふるさと」などの童謡と吉川さんが文学作品などから想起したオリジナル曲。実にステキなコンサートだった。
終演後、ぼくの企画で、小町通りの「奈可川」で打ち上げ。山内静夫さん夫妻、吉川久子さん、ギターの千代さんとその彼女、図書館長の菊池さん、館長補佐の浅見さんが加わった。山内さんは終始上機嫌で、刺身、ぬた、牡蠣フライ、つくねなどを召し上がり、熱燗を四合ほど飲んだ。ぼくは松茸の土瓶蒸しやキスの天ぷらなどを頼んだ。「奈可川」の女将やご主人たちとも打ち解け合って、なんだか家族みたいな雰囲気だった。
さらに話が盛り上がって、吉川さん、山内さん、ぼく、女優の小山明子さんと忘年会をやろうという話になった。本当は今回、小山明子さんにも声を掛けたのだが、関西にいらしていて出席できなかったのだ。
図書館長が「奈可川を知りませんでした」と述べたのだが、山内さんが「鎌倉で奈可川を知らなきゃもぐりだよ」と切り返していた。さらにぼくの「鎌倉物語」が出版されたら、図書館でトークイベントをやることになった。実に楽しい夕べだった。
写真は前列左からギターの千代さん、ぼく、山内静夫さん、奥様の愛子さん、後列左から図書館長補佐の浅見さん、千代さんの彼女、図書館長の菊池さん、吉川久子さん。
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