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2015年10月15日13:42

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心の自由エネルギーとは?

化学で重要になる物理量にGibbsの自由エネルギーがある。エネルギーとあるが、普通の意味のエネルギーではなく、Gibbsの自由エネルギーはエネルギーとエントロピーを組み合わせた概念である。Gibbsの自由エネルギーGは
    
      G=H−TS=E+PV−TS

で表され。Hはエンタルピー、Tは温度、Sはエントロピー、Eはエネルギー、Pは圧力、Vは体積を表す。
 一般に現象は、エネルギー一定、エントロピー増大の方向に向かって起きる。エントロピーとは乱雑さの尺度で、孤立系ではエントロピー増大、即ち、乱雑さが増加する方向に現象が起きる。Gibbsの自由エネルギー変化が正になるような現象は起こらず、Gibbsの自由エネルギー変化が負になる現象しか起こらないのは、現象の生起を通して、エネルギーは一定、エントロピーは増大するからである。
 物事はエネルギーだけでは決まらない。エントロピーも考慮しなければならない。
 心的エネルギーが減少とかいう表現があるが、あくまで、エネルギーは一定であり、エントロピーの増大により、高級なエネルギーが低級なエネルギーに変化するのであり、エネルギー量はあくまで一定である。
 以上は、物質の世界での話であるが、一般の物事にも拡張できるのではないか。エロスとタナトスという言葉があるが、タナトスとはまさしくエントロピー概念であり、フロイトはエネルギーの概念とエントロピーの概念を区別しなかったために、理論的に窮地に陥ったのではないだろうか。心理学の復権のためには、エネルギーの概念ばかりでなく、エントロピーの概念を的確に取り入れる必要があるのではないかと思う。
 心が乱雑になるのは自然な傾向であるが、それによって、ふと妄想が浮かぶのは、そのよい例ではないだろうか。心が乱雑になり、妄想が浮かぶことにより、心の自由エネルギーが低くなり、心が安定化するとは言えないだろうか。妄想が生れることにより、精神が安定化するということである。というより、人間は妄想を抱かざるを得ない存在といえよう。






荒井公康
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