mixiユーザー(id:3808888)

2015年10月12日16:53

155 view

蔡國強展:帰去来 於 横浜美術館

3連休の最終日、気になっていた蔡國強氏の個展「帰去来」に行って来ました。

フォト


福建省出身の世界的なアーチストですが、日本滞在中の火薬の爆発による絵画製作の成功により注目を集めるようになりました。

http://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/summary.html

火薬の出す水墨画的な雰囲気と曖昧な線が観る人の想像力を掻き立て、僅か8点の展示にもかかわらず時間を忘れさせてくれる力を感じる展示でした。

正面玄関入ると正面にある「夜桜」、アーチ型の美術館壁面いっぱいの和紙に描かれた桜と(縦8m、横24m)ふくろう(みみずく?)の眼差しが印象的です。こちらの作品は本展覧会のために横浜美術館内で作成され、その風景は展示室内で映像で紹介されています。(美術館内での火薬爆発の映像が迫力あります!)

ゲートを通って展示室に入ると、月岡雪鼎の春画に着想を得たという「人生四季」が目に入ります。春夏秋冬毎の自然風景に、密着する男女?の体が横たわっていて、自然と一体化した人間の自由さ(不自由さ)を表現しているように感じました。(何とこの作品は中学生以下保護者同伴の注意書きがありました)

次は、精巧な泉州市の徳化窯(これが本当に繊細で美しい)を敷き詰めた1枚の画に季節を表現する「春夏秋冬」。これも季節毎の画になりますが、はじめは真っ白であったいわゆる白磁に、火薬の爆発、燃焼、白煙などにより微妙な色彩が生まれていて、独特の風情が感じられます。

そして次の展示室が本展覧会のメインともいえる99体の狼が透明に壁に突撃している「壁撞き」です。

実物大の狼が、人が乗り越える事が困難な「見えない壁」に向かい何度も立ち向かう姿を表現しています。こちらも着想はベルリンの壁崩壊における物理的な壁と人間間の精神的な壁なのですが、対立する他の様々な事象においてもあきらめない事の大切さを投げかけているような気がしました。

こちらは、狼の群れの中に自分が入り、同じ目線で壁に向かえる体験型とも言える展示で、火薬による花火が夜空をキャンバスにしているように、本作も無限の空間をキャンバスに見立てたもので、いつもの細い空間で仕切られた展示室をぶっ通しにして巨大立体的な展示となっており、思わず狼の横でしゃがみ込んで目線を同じにしてみているいる方多数・・でした。

政治的な背景や思想が氏の芸術活動の源となっているようで、そうした背景を語るビデオ展示も作品とは別に興味が持てる内容でした。

フォト

2 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する