今回は楕円上に緯度を与える式を作ってみる。
前回から三日間、何とか簡単に計算できる方法はないかとさんざん考えてみたが、結局うまい方法を思いつかなかった。最初に考えたとおり極座標の方程式から導くしかないようだ。
しかしその前に、前回舌足らずだった点を補足しておこう。
楕円のパラメーター表示とはそもそも何をやっているものなのかということである。
そこでこんな図を描いてみた。
円に対する角度とx、y座標をそれぞれθc、xc、ycとし、楕円に対してそれぞれθe、xe、yeとする。
角度θcをパラメーターとして、円周上の座標は楕円上の座標へと、xc→xe、yc→yeと変換され、円の中心角θcは楕円上の座標によって与えられる角度θeに変換される。
(パラメーターの式ではy=bsinθだが、メスクリンではb=1なので、y成分は円のy成分と同じになる)
図では分かりやすいようにθc=45度にしてある。円の中心角が45度なら、当然xcとycの値は同じになるが、この角度に対して与えられるxeとyeは同じにならないので、θeも全然違う角度になる。θc=45度なら、xeとyeから与えられる角度は約22.62度である。前回はθeで楕円上に緯度を与えようとしたので失敗したわけだった。
緯度は円の中心角θcによって与えられるのだから、楕円上の点をθeではなくθcに対して与えれば、メスクリン上の緯度が決められることになる。
という訳で本題に戻る。
極座標の方程式には離心率が必要なので、まず離心率の値を求めるところから始めよう。
離心率=長径/焦点間の距離
なので、焦点間の距離/2=楕円の中心から焦点までの距離をcとすると、
となる。また楕円は2焦点からの距離の和が等しいことから、x軸上でこの距離を測れば、
(a+ae)+(a-ae)=2a となるので、2焦点からの距離の和は2aであることがわかる。
さらにy軸上の点について同様に考えると b^2+c^2=a^2となる。これとc=aeから
b^2+(ae)^2=a^2となり、整理すると、
となる。これでaとbから離心率eが求められた。
メスクリンの場合a=2.4、b=1なので、
となる。離心率が1なら放物線になるわけだから、メスクリンの形は離心率から見ても、ずいぶん極端な楕円といえる。
楕円の極方程式は
だから、メスクリンの楕円の極方程式は、
となる。
(正確な位置だと書きずらいので焦点の位置をずらした)
この式の焦点からの角度を楕円の中心角に引き直す。焦点からの角度をf、中心からの角度をθとする。図から、
となるので、
によって中心角が求められる。
この中心角θによって緯度が与えられるが、ここから任意のθを求めるには反復計算するしかないようだ。少なくとも自分の頭では他の方法を思いつけない。
さらに中心からの距離rは、
または、
という感じで与えることができる。これもやっぱり、もっと簡単に表す方法を思いつけないので、ここまでである。
これらの式で楕円上に緯度を与えたら、あとは前回の平射図法の変換式で地図に経緯度が引けるわけだが、ここまででもかなり草臥れたので、今回はこれまで。
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