「ルック・オブ・サイレンス」

「ルック･オブ･サイレンス」、

ジョシュア･オッペンハイマー監督による
『アクト･オブ･キリング』の姉妹編に当たるのではないかと思う。
60年代インドネシアでの“共産主義者大量殺害”を
犠牲者の遺族の側から眺めようとする内容。
この“共産主義者大粛清”を明らかにするドキュメンタリーは
確かに衝撃的で こう言ってよければ非常に面白いのだけれど、
『アクト･オブ･キリング』を観て感じる違和感は
ドキュメンタリーと言うにはあまりに
“仕掛け”が突出しているな…ということだった。
共産主義者殺害を恥ずべき行いだと思っていない加害者たちは
放っておいても自慢げにペラペラと殺戮を説明するのに、
わざわざ彼らに「映画」を撮らせる…というのは
演出が過ぎるのではないか？と思ってしまって。
今回は 被害者の遺族が自分の兄を殺した人たちを
メガネの検眼を装って(理由に)訪ねるという構成だけれど
これもやり過ぎの感がある。
とてもとても興味深い内容なのだが
作り手の作為が先に覗いているようで
何となく収まりが悪い。
ただ
現在も被害者加害者が同じコミュニティーで生活していることを考えると、
こういう仕掛けがなければ
この問題を語ることは難しいのかもしれないな…とは思う。
いかようにも残虐無慈悲な行為を行なえる人間なるものの属性に
戦慄するというより
情けなく呆れてしまう…気持ちの悪い映画なのだ。