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2015年08月15日07:30

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【週末読書】お役所仕事の大東亜戦争

お役所仕事の大東亜戦争
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現在の新聞やテレビなんかでは「満洲事変からの日本の行動は侵略だった」と盛んに言われていたりします。
それに対して保守層などでは「あれは聖戦だった。あの戦争のおかげでアジアは植民地支配から独立できた」と言っています。


どちらが正しいのでしょう。侵略? 聖戦?
この本のスタンスは「もっと真面目に戦争(侵略)しろ!」ということです。
他の国は、アメリカでもナチスでもイギリスでも中国でもソ連でも、指導者がコロコロ変わるということはありません。守るにしても侵略するにしても、何かしら方針というものがあります。


新聞などでは「満州事変以降、侵略を拡大した。それ以降、軍部が台頭した」という説をとりたがっているようですが、もともとは中国人による朝鮮系日本人の暴行、迫害が最大の原因です。被害は連日外務省に報告されているにもかかわらず、外務省は報告を無視。号を煮やした石原莞爾や永田鉄山は、満洲事変を画策します。


が、石原莞爾も永田鉄山も今でいうと課長級の立場です。上司はいるのですが、10メートル先から酒の匂いがしている参謀長官だったり、渾名が「便所のドア」と言われる次官だったりで全く対応ができていません。
世論は圧倒的に陸軍支持。政府も引きずられるようにして関東軍の行動を認めていきます。


これだけ聞くと関東軍の暴走なのですが、最後の最後には政府の命令で引き返しています。
当時の首相は若槻禮次郎。ノイローゼで正確な判断ができなくなっていたというのが真相のようです。


上司で判断できる人が誰もいないまま、現場はチョコチョコと脱法行為を繰り返します。しかし、それが原因で軍部が実権を握ったわけでもなく、最終的に満洲国の建国を強行に主張したのは関東軍ではなく内田康哉という外務省あがりの外務大臣でした。


一時が万事こんな感じ。それが終戦まで続いていきます。
お役所仕事が原因で日本は戦争に負けた・・・
というのがこの本の主張です。
現に、東條英機も山本五十六も官官接待の名人で、それが出世の条件でした。
それが、前に日記で紹介した「賢人の知恵」を使って紹介されています。


これと似たような本で「失敗の法則」という本があり、その本は作戦ごとの失敗をまとめているのですが、この本は大元の政府の「失敗の法則」をまとめたものです。
そして、この本にも「失敗の法則」にも書かれているものですが、この体質は終戦後の日本にも根付いています。
自衛権を認めないという最近の主張は論外ですが、日本の体質が変わらないとまた国策がないままズルズルとお役所仕事的に戦争に巻き込まれていく危険があるのではないのでしょうか・・・


ということを考えさせられた本でした。




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