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2015年08月13日08:07

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ユートピア トマス モア

トマス モアは、ヘンリー8世に殺された坊さんだけど、
王様に逆らっても信念を曲げなかったので、評判は高い。
映画もなかなか良かった。(わが命尽きるとも=マン フォー オール シーズンズ)
アが付いたかな? なんで、これで、わが命尽きるともになるのか不明だ。
多分、結婚の誓いの文言のように、「順調な時も、逆境の時も」の意味なんだろう。

彼の書いた「ユートピア」の文庫本は、なぜか、あちこちで古本で見かけるので、
つい、百円ならと買ってしまうのだけど、(タダの放出本も、よくある)
序文からして、回りくどく、しびれがきれてしまうので、放りだしてしまう。

今回、また手に取ったら、前回、40ページくらいまで、読んでいたようだった。
注釈が やたらに詳しく、ラテン語のルビも色んな訳語についているので、
その解読に時間がかかる。

ラテン語は知らないけれど、英語のルーツの半分はラテン語だからと、
英語の語源を考えながら読むと、訳者の尽力も分かり、疑問も湧いてくる。

こないだ読んだのは、戦争準備賛成論者の人が、
ユートピアにも、軍備のことは書いてあると言ってたせいだ。
確かに、ちゃんと、軍備という章がある。

トマス モアは 1500年代の男である。
カトリックである。
読んでいると、奴隷が当然のように肯定され、女子供は勿論、男に服従だ。

軍備の項は、ほとんど、今の軍事論と同じで面白い。
よその国で王様が横暴な事をしたら、出かけていって民衆の援助をする
という、お節介も肯定している。
条約をどこの国とも結ばないというのや、傭兵制などは、
スイスを思わせるのだが、この兵士を供給する国は、1円でも反応する国として
かなりバカにされている。(1円でも給料の高い方に乗り換えるという意味)

金や宝石を否定し、自由な学びを肯定し、怠け者を否定するのは、
「イワンのバカ」とか、「エミール」を思い起こさせる。
結婚や育児については、いい加減で、モアがほとんど育児にタッチしていないのが分かる。

まだまだ一部分しか、ざっと読んでないが、面白い本ではある。
政治談議が ちょっと長いが、国のあり方を追求してるのだから しょうがないか?
都市間の距離や、地形、海岸や港のあり方まで書いてある。
暗礁も利用してるのだから、やはり、戦争を相当意識している。

それにしても、訳者の知識と、行き届いた注釈に感心。
本文より長いんじゃないだろうか?
とてもとても、こんなに勉強出来ない。
単語にラテン語のルビをふってくれてるのも素晴らしい。
そのルビが老眼鏡をかけても読めないのが悲しい。
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