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2015年08月01日04:26

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ボーカロイドは人を殺すか

7月末、初音ミクさんなどのボーカロイドの曲を作る人、ボーカロイドP(プロデューサー)の椎名もたさんが20歳という若さで亡くなった
死因は発表されていない
この人の曲は今まで聞いたことがなかったので今いろいろと聴いている状態だ
ボーカロイドを用いたアーティストとしては6年続けていたそうで、初音ミクの年月と重なっている
幼少のころから音楽をやってきたようだが、ミクさんを最初から綺麗に歌わせていたというわけでもないようだ
努力してボーカロイドの曲も出来るようになったようで、動画としての投稿数もかなりの数に上る
市販の形でCDも結構出している



この曲が気に入った
ミクさんの素朴さな声がなんとも気持ち良い



実は死亡した当日にニコニコに作品が投稿されている
これがたまたまこの日に自動投稿されたものなのか、「遺書」なのかはわからない
ただ、これを聴いた私の感想は「遺書」のような気もする

なんというか、加点法ではなく、減点法の世の中で生きてきた苦しみを訴えているようで凄く苦しくなってくる歌詞だ
赤ペンお願いしますと言っているが、赤ペンとは添削であり、訂正され、正されることである
だから評価されるとは最初から思っていない
減点されることを最初から受け入れてしまっているのだ
歌の終わりはかなりショックな形で終わっていて、私以外にも遺書なのではないかと思う人は必ずいるはずだ


ボーカロイドの曲は若者に人気があるというがそれも納得せざるを得ない
ボーカロイドが現れる前にも若者にヒットする曲はあった
しかしそれは、おっさんやおばさんが当時の若いころの自分を思い起こしたり今の若者ってどんな感じかなぁとあれやこれやと想像して絞り出したものが大半だった
ドラマチックに色づけされていたり、ずれていたりしているものも多かった

しかし今の時代は若者が直接思ったこと、叫びたいことを歌詞にして、ボーカロイドと言う歌手に歌ってもらうことが出来る
だから物凄く直接的な、瑞々しいなんてものじゃない生の声を聞かされることとなる
初めて聴いた人はびっくりするのではないだろうか
例えばこれ



ロストワンの号哭である
まさに叫びである
おいどうするんだよと誰かに盛んに問うているのだが
当然答えなんてあるわけがない
だから「もう知ってんだろ」他ならぬ自分がここまで状況を追い詰めたんだよと現実に立たされた自分を認識してしまう歌なのだ


ボーカロイドは自身が演出を加えたりしない
作った人の意図をそのまま歌う
もしこれが人間の歌手だったら「ここはこういう風に歌ってみよう」と言うように勝手にアレンジを加えてしまうかもしれない
もちろんそれで元の歌より良くなることもあるし、新たな視点を生み出すこともある
歌ってみた系はそういう面白さがある

ボーカロイドにはそれがない
どんな歌詞だろうと、それが陰気なものだろうと妄想全開であろうとスケベなものであろうとも作り手の事を軽蔑することもなく、すべてを受け止めてそのまま歌ってくれるのだ

やっとズレがない共感出来る歌が歌が出てきたと喜ぶ人が出てきてもおかしくない背景がそこには確実にあり、作り手も歌い手もボーカロイドに救われたと言う人も出てくる
大げさでもなんでもない、ボーカロイドだから救えるものもあるのだ

また、カラオケの曲ランキングもボーカロイドの曲が上位に入っている
歌いやすいように作られていない、まるで人間の声帯に挑戦状を叩きつけてくるような極悪難易度が逆にやる気を起こさせるのかもしれない
作詞、作曲のプロだと歌いやすいメロディーラインをだとか、あまり音階を高くしないように抑えるとか、カラオケ化された時のことを最初から考えて歌いやすいように作るとかするが

そんなことを微塵も考えない 素  人

なら、いやだからこそ、荒々しくも共感させるものをたくさん持っているのかもしれない
プロとは違う、独特のものを生み出せる可能性を彼らは確かに持っているのだ


しかし、最初から売れたい曲をと考えるとその可能性を自ら狭めてしまうことになる
相手に合わせ、相手の耳に聞きこごちが良いようにしてしまう
動画として見せるPVに偏ってしまう
カゲプロプロジェクトと呼ばれるものがまさにこれだ
確かに独特な世界は持っていたが
それがヒットすると、また新たな人がそれに続けと、それを参考にしてしまう
するとパクリ騒ぎやら、似たようなのばかりになってしまい、面白かったものが急にしょうもない形に収束して面白くなくなってしまう


椎名もた氏は最後まで独特なものを保ち続けていたようだ
マイペースに作曲していたのも幸いしたのかもしれない
少なくとも聴く人に合わせて不本意な歌詞をボーカロイドに歌ってもらっていたということはなかったと思いたい


さて、前置きが長くなったが、ここで冒頭のタイトルだ
実は彼以外にもボーカロイドを用いたアーティスト達は何人か亡くなっている
ボーカロイドは疲れを知らず、文句も言わずどこまでも作り手と付き合ってくれる
これが利点だと言う人が大半だが、本当にそうだろうか?
逆にそれが作り手の命を縮めてしまうことにもならないだろうか?
タイマー機能をボーカロイドエディターに組み込むなり、登録されているボカロが「そろそろ休憩しようよ」と言うような機能組み込んだ方がいいのではないだろうか


人間がボーカルなら、あまり遅い時間までやり続けていたら「そろそろ休憩しようよ」の一言くらいは言うはずだ
でもボーカロイドは言わない、いや、言う機能が与えられていないから言えないのだ


主を失ったボーカロイド達は何を思うのだろう
そんな機能は与えられていないから思ったりするはずもないと言うのは正論だとは思うが、冷めすぎではなかろうか
機械も心を持っているのではないかと思うことがたまにあるのだ
イトカワから粒子を持ち帰ってきたはやぶさはまさにそれではないか


亡くなった方にご冥福をお祈りいたします
素敵な曲をありがとうございました




ふむ・・・
さて、「ボーカロイドはどんな歌詞であろうとも軽蔑することもなく、そのまま受け止めて歌ってくれる」と言ったわけだが、つまりはだボカロと1対1の制作現場には


止 め る 者 が い な い


と言う事でもある
亡くなった後、親族がアカウントを停止しない限りは作品が世の中に残るわけである
で、親族もこの人は生前にどういう曲を作っていたのかと気になるわけでもある
いやもう、アカウントを停止しようが誰かがその動画をコピーしてあるはず
基本なくなることはないと思った方がいい


もう・・・言おうとしていることはわかったよね?
ノリと勢いで黒歴史残しちゃう可能性もあるわけよ
自分のありとあらゆる部分、例えそれが恥ずかしいものであろうとも!
ありのままで残してもかまわないというならいいのだが!


「私が死んだらどうか同人誌の処分とハードディスクのフォーマットををををををを!!!」
と言う人は最初からうかつなものはアップせんほうがいいぞ?


こういうものが残ったりする実例があるのだぞ?
R18のすげえやつが



幸いにも愛されている曲のようだし、この曲の作曲者乙Pさんも思い入れがあるのか2012年バージョンとか2013年バージョンとか作ってるし!
ここまでやってくれるといっそとても清々しいです
この人も亡くなっているようです
25歳とのこと
ご冥福をお祈りいたします


しかも2012年、2013年バージョンになるともはやピー音すらありゃしねぇ
清々しい

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