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2015年06月09日13:24

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【喘息と体罰の少年時代】/ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』との出会い

第二部 体罰
第二章 納豆授業
第一節 ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』との出会い その一

 僕が、ムソルグスキー(写真1)の「展覧会の絵」を初めて聴いたのは、小学校五年生だったと思います。それは、メガネのCMでした。寂しげな診察室に、メガネ着用の女性(医師?)がいるCMでした。BGMで流れていたのが、「展覧会の絵」でした。もちろん、当時は曲名を知りません。あとでわかったのですが、流れていたのはピアノの原曲の「プロムナード」と呼ばれる第一曲目でした。
 おなじみのプロムナードのメロディがポロンポロンと流れます。メロディが持っている明るさとは裏腹に、僕の心には寂しげに響いてきました。問題は、三小節目の一拍目の和音です。今にして思えば、僕はこの和音に取り付かれたのかも知れません。プロムナードの冒頭は、おなじみのメロディが二小節に渡って展開されます。三、四小節目は一、二小節目の繰り返しのメロディに和音が重なってくるのです。明るいメロディと思いきや、三小節目の一拍目の和音は、なんとGm(ジー・マイナー)なのでした。当時、僕はこの
「明るいメロディを寂しげに演出してしまった三小節目の一拍目の和音」
に取り憑かれたのかもしれません。当時、「展覧会の絵」という曲名も作曲者がムソルグスキーであることも知りませんでしたが、このムソルグスキー作曲「展覧会の絵」は僕の心に深く印象付けられました。
 今にして思えば、学校で音楽の先生の前で歌ってみれば、先生がすぐに曲名を教えてくれただろうに、少年時代はそんな積極性がありませんでした。この「積極性の欠如」は、僕が不当な体罰を受けた遠因になっていたかも知れません。

第三部 成人喘息
第一章 中学校と喘息再発
第一節 ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』との出会い その二

 中学生になって、ラジカセを買ってもらいました。当時は、まだラジカセは高価なものでした。今のように海外の安い労働力で生産していたわけではなかったのです。二万五千円くらいのラジカセを買ってもらいました。これで、好きな音楽をいつでも好きな時に聴ける生活が始まると思うと嬉しかったです。その頃、毎週楽しみにしていたドラマ「太陽に吠えろ!」のオープニング・テーマを、ラジカセの内蔵マイクで録音して喜んでいました。ライン録りではなく、テレビから流れる音を内蔵マイクで拾うので、音質は酷かったです。でも、それでも満足していました。
 FM放送で、いい音楽番組を聴くようになって、録音して楽しんでいました。そんな音楽番組の一つから流れてきたのが、小学校五年生の時に聴いたメロディでした。
・・・・・おぉっ! あのメロディだ!
番組の解説で、それがムソルグスキー作曲「展覧会の絵」だとわかりました。その時は録音できなかったのですが、それから数日だったか数週間経って、新聞の番組表をチェックしていたら、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」が放送予定であると知りました。それは、ムソルグスキーのオリジナルのピアノ版ではなく、ラベル編曲のオーケストラ版でした。ラジオからは、その後、ムソルグスキーのオリジナルのピアノ版を聴く機会がありませんでした。放送が無かったわけではないと思いますが、社会人になってムソルグスキーのオリ ジナルのピアノ版のCDを購入するまで、ラジカセで録音したラベル編曲のオーケストラ版を楽しんでいました。

第四部 回復
第一章 岡本町での一人暮らし
第九節 ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』との出会い その三

 社会人になると、会社の同僚が色々な音学を聴かせてくれました。彼がCDを購入して聴いて良かった音楽をカセット・テープに録音して僕にプレゼントしてくれたのです。彼がプレゼントしてくれた音楽の中には、アカペラ・グループの「タイム・ファイブ」のアルバム「ア・カペラ」もありました。
 その彼の友人が、ポータブルCDプレイヤーを売りたがっているという情報を耳にして、僕はそのCDプレイヤーを一万円で購入しました。生まれて初めて買ったCDは、もちろんムソルグスキー作曲「展覧会の絵」。ロシア(旧ソ連)の音楽家ウラジミール・アシュケナージのCDでした。アシュケナージの演奏によるピアノ版(ムソルグスキーのオリジナル版)の「展覧会の絵」とアシュケナージの編曲・指揮によるオーケストラ版の「展覧会の絵」が収録されています。

第四部 回復
第五章 再婚
第六節 ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』との出会い その四

 現在の妻と再婚して子どもが生まれた頃、僕はムソルグスキーを生で聴くチャンスを得ました。曲目は、もちろん「展覧会の絵」。ラベル編曲のオーケストラ版でした。演奏は、東京工業大学管弦楽団。会場は、東京都大田区蒲田のアプリコでした。生まれて初めて生で聴くムソルグスキー「展覧会の絵」。オープニングは、トランペットで元気よく始まる「プロムナード」。そして九小節目で、ヴァイオリンのみなさんが、静かに弾き始めたとき、僕はじんわり暖かさに包まれる感覚になりました。
・・・・・あぁ、オーケストラだ
アシュケナージ編曲版やラベル編曲版を何百回と聴いたムソルグスキー「展覧会の絵」。ラストの「キエフの大門(写真3)」は、圧巻でした。大きなキエフの大門を思い起こさせる雄大なメロディに始まり、賛美歌を思わせる静かな中間部を経て、悲しげでそれでいて華やかなムソルグスキー「展覧会の絵」は終わります。そうか、これこそが、ムソルグスキーの親友ハルトマン(写真2)の鎮魂歌なのだ! もう百年以上前に亡くなってしまったムソルグスキー。しかし、彼が残した名曲「展覧会の絵」が僕を助けてくれる、そう思いました。喘息の苦しみ、妹の新興宗教問題で翻弄されたこと、離婚、体罰・・・・・。それらの苦しみから、僕を救ってくれるのがムソルグスキー「展覧会の絵」。そう思いました。


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