私の著作第三弾、来年発売予定【喘息と体罰の少年時代】をご紹介します。
連載ではありません。
現在、書き散らかした原稿を一つの小説として構築する作業をしております。
その過程で、書き足したパラグラフを時々、ご紹介します。
文字量としては、8万文字くらいの自伝小説です。
プロローグ
僕は、どうしてあの先生を許せるようになったのだろう?
不当な体罰を1年間毎日のように受け続けたのに。
その加害者であるあの先生を、どうして許せるようになったのだろう?
四十年間恨み続けて憎み続けたのに。
その感情は、どこに消えてしまったのだろう?
僕は、どうして母を許せるようになったのだろう?
窒息死しそうな喘息の発作にも拘わらず、救急車を一度も呼んでくれなかったのに。
そんな酷い母を、どうして許せるようになったのだろう?
四十年間恨み続けて憎み続けたのに。
その感情は、どこに消えてしまったのだろう?
僕は、どうしてこのような性格になったのだろう?
そんなことはとっくに理解してたさ。
小学五年生の一年間、毎日受け続けた不当な体罰。
僕は、あの先生の執拗な性格をよく理解した。
そして、その性格を受け継いだのさ。
その性格は、どうして治ってしまったのだろう?
僕は、どうして愛を信じられないのだろう?
そんなことはとっくに理解してたさ。
窒息死しそうな喘息の発作にも拘わらず、救急車を一度も呼んでくれなかったから。
僕は、愛を信じなくなったのさ。
そして、そのまま大人になったのさ。
どうして愛を信じられるようになったのだろう?
ゆがんだ性格のままでいることが、あの先生への復讐だった。
愛を信じないままでいることが、母への復讐だった。
復讐心をたぎらせることが、僕の生きるエネルギーだった。
そんな大切な復讐心を、なぜ捨て去ってしまったのだろう?
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