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2015年05月26日12:55

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煙草の話

「煙草は健康にいい」と言ったのは、わたしの恩師・西田に啓治先生であった。

わたしが大学院で西谷啓治先生のハイデッガーの主著『有と時』をテキストに哲学文献研究(講読)の授業中に、西谷先生の手にはいつも火がついた煙草があった。ただ、西谷先生は一度煙草に火をつけても、二度ばかり吸うだけで、あと煙草が�犲�動的�瓩鳳譴辰討い�、なくなっていく。だからまた新しい煙草に火をつける。そんなことを繰り返していたことを思い出す。

わたしのゼミの担当教授だった訓覇曄雄先生も、西谷先生に負けずに劣らずベビースモーカーであった。とくに訓覇先生はピースの愛好家で、訓覇先生は授業をはじめる際、「この授業は喫煙可ということで」と、ニヤニヤしながら�狎觚性瓩靴燭Δ┐如⊆�業をはじめられたことを覚えている。

ある哲学の講演会で、西谷啓治先生、京都大学文学部哲学科キリスト教専攻の名誉教授だった武藤一雄先生、そして京都大学文学部哲学科哲学専攻の名誉教授で、日本のハイデッガー研究の第一人者だった辻村公一先生が顔を合わせられた際、西谷先生が辻村先生に「辻村君、君は煙草をやめたらしいね」とおもむろに言われだことを見たことがある。

武藤先生にとっても辻村先生にとっても西谷先生は�牴源姚瓩世辰拭�西谷先生、武藤先生は80代、辻村先生は70代の高齢者だった。

「いや、医者に煙草を止められたんですよ」と、
辻村先生が西谷先生に言うと、
「何、医者に煙草をやめろと言われたぐらいで、君は煙草をやめてしまうのか。ぼくたちは煙草で寿命が縮まってもいいと思って吸っているのに。君は裏切り者だ」
と、ばっさりと切りす捨ていたことを覚えている。
あの時の�犧い辰伸瓩箸いδ埖疾萓犬隆蕕亘困譴蕕譴覆ぁ�

しかし�爐椶�たちは煙草で寿命が縮まってもいいと思って吸っているのに�瓩箸い�西谷先生の言葉に、思わず�狎萓犬禄淑�に長生きされていますよ�瓩汎佑湛�みを入れたく思えたこともあった。しかし西谷先生の「煙草は健康にいい」と、日頃からの公言には、どこか説得力を感じていた。煙草が健康にいいはずはないが、西谷先生がこういうと何故か説得力を強く感じたりしていた。

いつ頃からか、�狹�学を専攻するものは煙草を吸わねばならない�瓩箸い�掟ができていた。だからかもしれなかったが、西谷先生は、学生には�犁扮譴寮�非�瓩鮨劼佑討い拭�しかし西谷先生は、何故かわたしには「煙草は身体に悪いから煙草は吸わないように」と、言われたのには驚いた。それだけわたしの身体を気遣ってくれて頂いていたと思える。

わたしが会社勤めをはじめた頃は、職場では喫煙は当たり前であったが、男性社員が自分のデスクで吸えたのに対して、女性社員は女子トイレや給湯室で隠れるように吸っていて、日本企業における�狠暴�の格差�瓩魎兇犬燭蠅靴討い拭�やがてわたしが勤めていた会社が外資系企業に買収され、職場では全面禁煙となって、喫煙コーナーが設けられたりした。しかし10年前までは禁煙に対してはそんなに煩くはなかったように思える。

ただ、西谷先生の煙草の吸い方、吹かし方はわたしの目から見てとても恰好よく見えたのだ。煙草の煙が煙たそうな表情をされながら、吸われる吸い方がとても恰好よく思えた。宮崎駿監督の 最後の長編アニメ作品『風立ちぬ』での喫煙シーンは戦前の男性は煙草を吸っていて当然という時代考察からそのようなシーンが描かれているという。

しかし昔の人はとても恰好よく煙草を吸われていたように思える。

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