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2015年05月13日17:30

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「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル ”神回”傑作選vol.1」を読みました

テレビを見なくなってから、ラジオが情報源の事が多いです。もちろん放送時は聞けないのでポッドキャストで聞いてます。

そんな中でも特に好きな番組が「タマフル」です。


映画批評も、批評性を面白がるところまで昇華してる部分が好きです。が、その中でのゲストコーナーを書籍化したものが、この本です。番組内でゲストの方が自分の興味に関する思いの入れ方を語り、そこにブレーキをかけさせないで話させるのが番組側MCというちょっと普通とは逆のコーナーです。


割合どうでも良い、知らなくても困らない事実を知るというトリビアルな楽しみを、とてもエモーショナルに語られると、さも重大な真実を知ったかのような興奮が味わえます。が、冷静になるとそうでもないよな、と考えてしまったりしますが、エンターテイメント性の高い読書体験になります(当たり前ですが、番組を聞いているともっとです)。



私が中でも気に入っているのが、アイドルは全然知らなくても『アイドル性』について理解する事が出来る「アイドルとしての王貞治特集 コンバットREC」、文房具(決してステイショナリーという文脈ではない。)が好きな男子のダメな感じが炸裂しつつも進化の袋小路を感じさせる「ブング・ジャムa.k.a文具ジェダイ評議会が文具の悩みに答える”文具身の上相談”」、これは最早新たな話芸のいちジャンルを築いた「真夏のア(↑)コガレ自慢大会 高橋芳朗」、これほどまでにワカラナイ事を面白がらせた上に女子側の立場をプレゼンテーション出来る人が居るだろうか?否いない!「男子のための初めてのコスメ入門 ジェーン・スー」、そしてこの本における白眉「映画が残酷・野蛮で何が悪い 高橋ヨシキ」です。



基本的にはラジオ放送を文字起こししたものですから、本来は音源で聞くのが最も面白いと思います。でも、活字でも読めるのはとても嬉しいです。よーつべとかを利用すれば多分まだ聞けるモノがあると思います。



好きなジャンルを気の通じ合う誰かと話す楽しさ、をブーストさせたかのような感じで大変面白いです。話し手の様々なゲストの方の一家言と、その熱意、そしてホストである宇多丸さんが出来るだけ分かり易い言葉でレクチャーしたり、決してゲストにブレーキをかけさせない事もこの熱量溢れる番組の特徴だと思います。



ジェーン・スーさん、本当に切れる方ですし、著作も全部持ってますがイイです。中でも私は「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」が最高傑作だと思いますし、衝撃度でこの本に収められている「男子のための初めてのコスメ入門」が1番です。なんだか頭を鈍器で殴られるかのような衝撃があります。例え方も素晴らしい。



また音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんもかなり変な方ですが、とにかく面白いです。些細なシュチエーションを大事にするって事なんだと思うんですが、とにかく芸が細かいですし、ディティールが大事なのは十分承知するんですが、その想像の斜め上を超えていく感じがたまりません。




ただ、本書の中で最も良かったのはやはり高橋ヨシキさんです。そうか、今現在はあのディストピア「1984年」を超えた世界なんだなぁ、とつくづく感じさせてくれましたし、確かにです。Big brother is watching you!怖すぎです。いわゆる昔の「おてんとうさまが見てるぞ」というおためごかしなんですよね。そういう道徳が通用したり刷り込みとして行われている事は構わないですし、子供にはそれでも良いんですが、大人であり、自分で考えるという事とは違うと思います。誰かが見ているから、相互監視が行われているから、ではなく、人に同じことをされるのが嫌なのであれば、とか、ポリシーに反するから、とか、社会に生きる生き物として、とかいわゆる『何かの罰が与えられるから』という考えではなく『こうするべきであるから』という考え方に基づかないままの状況に幼さを感じます。自由である、という事は責任が伴うのだ、という事なんですが。




何かを知る、角度を変えてみる見る、という事に興味のある方にオススメ致します。
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