猫は人の心の動きに敏感です。老夫婦が難問にぶつかり、夕食をとりながら「どうしたものかねえ」と顔を見合わせうなだれていると、メイクーンタイプの大型ネコのイークンが「元気をだしてニャーン」と二人の間に入り込み、前足を揃えて大きな体を横たえ、二人の顔を見上げる……こんなことが度々ありました。
その夜もまた落ち込んだ気分のまま就寝、イークンは早朝4時、いつものように「外に出るよ」と起こしに来ました。そして次は2時間後の6時に帰宅「お腹が空いたよニャーン」と起こしに来ます。それがイークンお決まりの朝食です。私はイークンが開けて入ってきたガラス戸を、ロックはしないで閉めて寝ます。アウトドア派のイークンは満腹になればまた外に出ます。
私は習慣的に7時ごろトイレに起きます。その際にガラス戸を閉めるのですが、その朝は閉めようと見たら開いていないのです。変だなと思いながら戻ると、イークンはカミさんの枕元に前足を揃えて腹ばいになり、カミさんの顔を見詰めていたのです。
「あれイークン外に出なかったの?」イークンは「そうだよニャーン」と私の顔を見上げました。外に出たいのを我慢して、カミさんを見守っていたのです。
これを伝えるとカミさんは大感激「イークンありがとうねえ」と抱きしめました。抱かれるのが嫌いなイークンは、両手を突っ張って体をのけぞらせ、逃げ出しました。
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