昔、恩師・原野栄二先生は、よく「本は売り払った本ほど、読みたくなる本はない。」と言っておられたが、まさしくその通りである。
先日、蔵書の一部を古書店に買ってもらったが、その蔵書のなかで、福島正彦著『ベーメ倫理思想の研究』と大村晴雄著『ベーメとヘーゲル』も、もう読むことはないだろうと思って売り払ったのだが、やはりベーメに関する研究書が読みたくなり、自分が売り払った古書店から�倏磴ぬ瓩広瓩海箸砲覆辰拭�
福島正彦氏の『ベーメ倫理思想の研究』は、ベーメの倫理思想の基本を論じた上で、そのベーメの倫理思想が後世の哲学者や文学者にどのような影響を与えたのかということを、シェリング、ドストエフスキー、そしてベルジャエフなどを挙げながら論じている。
大村晴雄氏の『ベーメとヘーゲル』は、神秘主義者であるベーメがドイツ観念論にどのような影響を与えたのかを中心に、大村晴雄氏のベーメ関係、ヘーゲル関係の論文を集められた一冊である。
ベーメは、ドイツ神秘主義思想とドイツ観念論の関係を考える上で、非常に大きな存在であることは言うまでもない。たとえば、�狄誓��瓩箸いΥ冉阿皀┘奪�ハルトが「場所」的に論じたのに対して、ベーメは「意志」として論じている。ベーメにとって�狄誓��瓩修里發里�「動的」に捉えようとしているのである。
さらに�猝議讚瓩砲弔い討癲▲戞璽瓩凌脆觴腟租�思想がシェリングに多大に影響を与え、シェリングでは、その�猝議讚瓩��牋��瓩箸いμ簑蠅箸靴届世犬蕕譴討い襦�さらにベーメに関しては、ベルジャエフが「ベーメ論」ほ書いているように、ロシア思想にも少なからず影響を与えている。
わたしはロシアにおける東方神秘主義に強く惹かれて、学生時代に数冊のロシアにおける神秘主義に関する書籍を購入したが、例えば、ドストエフスキーの『罪と罰』において主人公が贖罪の意味を込めた大地に接吻をするシーンがあるが、わたしには、ロシアにおける�狢臙廊瓩�日本の鈴木大拙の�猯鄒��瓩箸いΔ發里箸匹海�通じるところがあるように思われてならないのである。それを知るために、ベルジャエフの書籍を何冊が読んだりもした。
カントは『純粋理性批判』において�猜�自体�瓩箸いΤ鞠阿鮹屬�ことによって人間の理論理性を制限し、人間理性の�猴�限性�瓩鮗臘イ靴拭�そしてその認識論における�猜�自体�瓩箸いΤ鞠阿廊犲汰�理性�瓩砲茲辰討里濆酩�されるのだと論じていた。そこにカントが極めて厳格な�狷仔租�哲学者�瓩任△辰申螳覆�ある。カントは『単なる理性の限界内における宗教』においてキリスト教を�狷仔租��瓩鵬鮗瓩靴討い襦�それが人間理性の�犖続ζ發砲�ける宗教解釈�瓩覆里世箸いΔ里任△襦�
しかしながらカント以降の、フィヒテ、シェリング、ヘーゲルは、カントが示した人間理性の有限性を乗り越えて、より神に近いものへ、より絶対的なものへと論じていき、最後のヘーゲルに至っては、神の上位に絶対理性を論じるに至ったのである。そこには深くドイツ神秘主義思想が関係していたことは言うまでもない。
わたしにはそれゆえに、カントが人間理性の�猴�限性�瓩鮗┐靴伸猜�自体�瓩箸いΤ鞠阿�、どこか�猗真脆觴腟銑瓩箸いΕ�ント自身の信仰心から出ていたもののように思われてならないのである。わたしには、「私は、信仰に場を獲るために、ちしきをしようしなければならなかった。」という言葉が引っ掛かりを覚えるのである。
昔原野先生が「本は売り払った本ほど、読みたくなる本はない。」とよく言っておられたが、まさしくその通りで、わたしも売り払った本を買ってもらった古書店から買い戻した。だったら、初めから売らなければよかったのにと、後悔している。
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