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2015年04月15日07:34

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ヴェルディ「運命の力」(新国立劇場 14日マチネー)

http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150402_003711.html

主役4人の粒が揃っており、楽しめるものでした。ビッグネームが出演していないせいかネットでもあまり評判にもならず、そんなに期待しないで聴きにいったのですが、予想以上に、よかったです指でOK。私の席は4階一列目、東京文化会館でいえば、先日聴いた演奏会の「ワルキューレ」での5階一列目とほぼ同じような位置関係ですが、さすがにオペラハウスの響きは格段に素晴らしいですね!「ワルキューレ」では、N響をもってしてもオペラに対するホールのハンディは大きく、演奏会形式という名のとおりの響きで、オーケストラ・歌声の相互が散漫に拡散しオペラ独特のオーケストラと歌の一体感に満ちたオペラ特有の祝祭的雰囲気を、私は、ついぞ味わえなかったものですが(^^;)、新国のピットからはブレンドされたオーケストラ・トーンが天井桟敷まできちんと届く。歌も、ホール全体の反響で実に心地よく会場に響きます。これでこそオペラです。やはり、オペラは、専門の小屋で聴くべきだなあ、と再確認した次第です(笑)。

このオペラ、初めて観ましたので、そういう新鮮さもあり、ストーリー自体はかなり端折ってはおりますが(苦笑)、オペラなんて所詮そんなものと思えば、大きな違和感もなかったです。第二幕・第二場野営地での「物売り」や「修道僧」の登場、また第四幕・第一場僧院での冒頭の修道士の「やりとり」は、ちょっと冗長に感じましたが、あとの場面は、比較的テンポも早く展開し、飽きることはなかったです。第二幕と第三幕の間で一回の休憩もよし。

このオペラ、主役4人に、やや地味ながらも其々しっかり聴かせどころは与えられているし、酒場や野営地で合唱が活躍する場面もあって、思ったよりも起伏・変化もあり、初めて聴いても、イタリアオペラ、ヴェルディの醍醐味は味わえました。演出も現代風ではあるけど奇抜でもなく、概ねわかりやすい舞台で好感。歌手では、レオノーラ役のイアーノ・タマーがしっとりとした情感のある丁寧な歌で、とても素晴らしかった。変に絶叫しないのが好ましく、私は好きなタイプの歌手です。第一幕冒頭の歌から、第二幕第二場の聴かせどころ、そして、ラストと、徐々に激情も表にでて、しっかりと歌い切りました。ブラヴォーです。アルヴァーロ役のトドロヴィッチは、やや荒く、ぶっきら棒。でも、それが返って役には相応しくも思えましたし、第三幕第一場のアリアは、なかなか見事に決めていました。ドン・カルロ役のディ・フェリーチェ、プレツィオジッラ役のケモクリーゼともに安定した歌唱。ゴメス指揮東フィル、やや遅めのテンポとフレーズ間の「間」(ま)のせいで、勢いが減じている点もあったとは思うけれど、逆に、悲劇をあえて煽らず淡々と描き進み、最後で情熱を爆発させる設計は、なかなかのもの、とも思いました。

というわけで、初めて観たこのオペラ、抵抗も大きな不満もなく充分に楽しめ、「新しい出会い」に感謝ですわーい(嬉しい顔)!聴くオペラのレパートリーが、一つ、広がりました!さあ、次の舞台は何になりますか。今シーズンの演目、今のところ予定はなく、来シーズンの「フォルスタッフ」「イアヌーファ」「ウエルテル」あたりを、もし好みの席がゲットできたら、と思っています(^^)。


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