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2015年04月08日23:41

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「博士と彼女のセオリー」

本日は、エディ・レッドメインがアカデミー主演男優賞を受賞した映画。

なんか…すごく評価するレビューが多いんですが
思惟太は魅力のない映画だなぁ…と思いました。
せっかくホーキング博士と妻ジェーンを描くのに
ものすごく凡庸な映画になってしまっている…ように思って。
この立派な夫婦に対して
ヘンなことは言えません! みたいな縛りを感じてしまう。
それじゃいい映画にならないと思うよ。





「博士と彼女のセオリー」 ’14 (英)


監督:ジェームズ・マーシュ 脚本:アンソニー・マッカーテン
原作:ジェーン・ホーキング 撮影:ブノワ・ドゥローム
美術:ジョン・ポール・ケリー 衣装:スティーブン・ノーブル
編集:ジンクス・ゴッドフリー 音楽:ヨハン・ヨハンソン
m:エディ・レッドメイン,チャーリー・コックス,サイモン・マクバーニー
  デヴィッド・シューリス,ハリー・ロイド,クリスチャン・マッケイ
f :フェリシティ・ジョーンズ,エミリー・ワトソン,マキシン・ピーク


ドキュメンタリー『マン・オン・ワイヤー』
スパイサスペンス『シャドー・ダンサー』のジェームズ・マーシュが
天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士の別れた妻
ジェーンが記した回想譚を映画化した“ある夫婦”の物語。
ホーキング博士の仕事を顕彰する(検証する)映画ではなくて
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の男と結婚した妻ジェーンの側から
二人の結婚生活を語る内容で、
難病ものとも違って 天才科学者で進行性難病の夫と暮らす妻―という
特異な状況を真摯に摑まえようとした作品だと思う。
ただ真摯であることは夫妻や関係者が存命であることもあるからだろう
思い切った脚色や演出を許さない風があって、
恋愛にしても 結婚前の決断の苦悩や逡巡にしても
結婚後の実生活の大変さにしても 離婚に至る互いの心情の揺れにしても
さらりと引っかかりなく 言ってしまえばありきたりな語りなので
我々が既に知っている“車イスのホーキング博士”の結婚の経緯と結婚生活を
可もなく不可もなく述べた…そんな印象なのだ。
もちろん 60年代のケンブリッジの映像は素晴らしく美しいし
スティーヴンの才能の発現に胸が躍るし
その彼が運動能力を失って行くさまに震え
ジェーンの決断と献身に感動するのだけれど、
そこに優れた脚本や演出の妙を感じることはなくて
夫があのホーキング博士であること―を除くと
驚くほど凡庸な夫婦のドラマのように思われる。
夫婦のセックスライフはどうなっているのか?という
はしたなくも純粋な興味―
おそらくジェーンやスティーヴンが周囲から愛情を持って訊かれ
率直にユーモラスに答えたであろう質問―が
結局この映画(というか夫妻の結婚生活)の偽らざる真実だったのではないか…?
そう思ってしまうくらい
映画は夫婦の何も描いてはいないような気がする。
ジョナサンという第三者が介入して奇妙な均衡が生まれる…という美味しい件りも
SEXを描けないから 生々しい関係性にドキドキするというより
少女の恋愛譚みたいな展開にしかならないし、
スティーヴンの看護師との恋愛にしたって
果たして真正の恋愛であったのか ジェーンを解放するための仕掛けであったのか…
というミステリアスな謎解きを愉しませることもない。
それもこれも
関係者が存命であることによるのではないかと思う。
陳凱歌が遺族への配慮から『花の生涯〜梅蘭芳〜』の後半
何も語れなくなってしまっていたのと同様に。
存命の超有名人の映画でも『クィーン』は抜群に面白かったのに…ね。
エディ・レッドメインは熱演だと思うけれど
脚本がよくないこともあって
そっくりさん演技以上のすごさを感じなかった。
『ジュピター』の悪役バレムの方がずっといいと思ったもの(笑)。
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