朝日新聞が「新型の国内「局所バブル」に警戒、一部に集中する緩和マネー」という記事を書いていました。
「バブル」といった類の言葉を使うときは、注意が必要です。
別に「バブル」に限らず、言葉の定義を明確化しなければ、今後の動きを見誤ってしまいます。
バブルとは、「投資」では生じません。投資とは、おカネを投じて「所得」「自己の便益」を得ようとする経済行為です。
無論、所得を増やすために、銀行からお金を借りて投資をすることは、資本主義の基本です。
例えば、銀行からお金を借り、マンションを買ったとして(たとえ、億ションでも)、自分が住むという「便益」を得る、あるいは賃貸に回して家賃収入(所得)を得ようとする「投資」がどれだけ増えても、バブルにはなりません。
バブルとは、所得(あるいは自己の便益)ではなく、「資産価格の上昇」いわゆるキャピタルゲイン(値上がり益)を
目的に、おカネを借りて投じる行為、すなわち「投機」が爆発的に拡大することで生じます。
誰もが「資産価格が上がる」と確信し、銀行からお金を借りて「投機」すると、実際に値段が上がります。
それを見た他の人までもが、「もっと上がるはずだ」とお金を借り、「投機」する。さらに、資産価格が上がり・・・。
と、投機と資産価格の上昇が影響を与え合いながら膨張していくのが「バブル」なのです。
バブルが崩壊する、つまりは資産価格が上限に達すると、一部の資産保有者が資産を売却し始めます。
皆が同じ思いで資産を手放していくと、実際に資産価格が下がります。
それを見た他の人までもが「もっと下がるかも」と、資産を売却し、瞬く間に
資産価格が暴落していくのが「バブル崩壊」になります。
バブルを生み出すのが、人々の「もっと上がるはずだ」というキャピタルゲインを求める「欲」であり、
バブル崩壊は人々の「もっと下がるかも」という「怯え」がもたらすと書くと、分かりやすいでしょうか。
現在の日本の一部(東京中央部など)で発生している土地価格の上昇は、確かに「投機」が少なくないのでしょう。とはいえ、1980年代後半の日本のバブルは、土地、株式、さらにはゴルフ会員権といった資産までもが「全般的に」上昇しました。
東京中心部の土地価格が「投機」で値上がりしているとはいえ、資産価格上昇の拡大が広まってはいない以上、現在の日本について「バブル再来」と評するのは無理があると思います。
(だからこそ、朝日新聞も「局所バブル」と呼んでいるのでしょうが)
ちなみに、日経平均は確かに15年ぶりの高値に達していますが、株価を純利益で割ったPER(資産収益率)の平均は17倍程度に過ぎません。
80年代後半のバブル期のPER平均は、信じられないでしょうが70倍を超えていました。
株価が「企業の70年分の利益を織り込んでいた」という話で、それは維持不可能に決まっています。
もっとも、現在の日経平均の高騰が「健全」かといえば、そんなことはありません。
何しろ、2014年の経済成長率はマイナスで、国民の実質賃金が下落を続けています。
80年代後半のバブル期とは異なり、現在の問題は「所得と資産価格(株価など)の乖離」が
ポイントになっており、かつて日本が経験したことがないタイプの現象です。というわけで、
過去の定石に倣い、現在の現象を判断することは危険だと思うのです
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