今年もシンピジュウムが咲いています。
「花屋さんのようにはいかないけど、よく咲いているね」
「母が育てていたころも咲いてはいたけれど、これほど立派ではなかったのよ。毎年アタシが肥料をやっていたから、こんなにたくさん咲くようになったの。母も喜んでいるわよね、きっと」
19年前に種子島に来て10年間母と生活を共にしたのですが、その母が亡くなって今年で9年目になります。
庭の様相も年とともに変わってきてはいますが、母が手入れをしていていた鉢植えや山茶花、オガタマ、椿、キンカン、百日紅などが、四季折々に花を咲かせて、母の笑顔を思い出させてくれています。
「そういえば、今年の誕生日が来れば俺も79歳だもんなあ、いつまでも若いつもりではいられないよなあ」
「そりゃあそうでしょう、お互いに後期高齢者なんだから、そこんところを自覚しなくっちゃあね」
シンピジュウムを見ながら、母との生活を思い出しているうちに、いつの間にか話しは、自分たちが老夫婦であることに落ち着いていました。
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