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2015年03月21日14:58

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大劇場2:3/20 エルナーニ

Conductor: James Levine
Elvira: Angela Meade
Ernani: Francesco Meli
Don Carlo: Plácido Domingo
de Silva: Dimitry Belosselskiy
Production Team
Production: PierLuigi Samaritani
Set Designer: PierLuigi Samaritani
Costume Designer: Peter J. Hall
Lighting Designer: Gil Wechsler

前回在住時は3年半で訪れたのはわずか6州(NY、MA、NJ、PA、DC,VA)。その後ハワイとイリノイは行ったが、正直これからの休暇をフル活用してもどこまで回れるかは微妙。ならばせめてオケくらいは出来るだけ制覇したい(笑)と思うも、今晩のセントルイスにどうも食指が。アンサンブルの現状に関心あるも、メインがチャイ4ではキタエンコとかフェドセーエフとかシモノフ級でないと、行く気が…
と思うも、こんなことで悩んでいるうちに早くも仕事は週末に回せばいいやモードに。こんな状態で仕事やっても能率悪いので今晩は何か聴こう、と思っていると、ちょうどエルナーニ再演初日だと知る。
再演、かつマイナー演目とはいえ、レヴァイン・ドミンゴ共演ものがこんな感じで開演1時間前に思い立っても27.5ドルで観れるのは本当に有難い。立見席万歳。新国もロビー活動に励んで消防法を改正してもらいなはれ。

そして、素晴らしかった。
前もたしか書いたが、こういう必ずしもメジャーでない演目のしかも再演でこのメンバーを投入できるこの劇場の無尽蔵の体力は凄い。エルナーニは以前NHK-BSだかで観て、あまり魅力的な作品とは思えなかったが、とんでもない。ドラマはいろいろ破綻しているが(後述)、音楽はむしろかなり魅力的では。少なくとも個人的にはナブッコよりずっと響く。
そう思えたのは、まずは4人の横綱勢揃いゆえか。11月のマクベス夫人で、ザルツブルクのボリス(ゴドゥノフ)のコチェルガを(マクベス夫人の)ボリスに起用したことに驚いたが、今日のデ・シルヴァのベロセルスキーもボリショイのボリス(ゴドゥノフ)。なんとも深く暗い声。情念渦巻くドス黒い演唱というわけではないが、この作品どこまで役に憑依していいかは若干難しそうなので(後述)、これくらいでいいと思う。
フランチェスコ・メリはこれが初実演(自分のイタ物の経験値はその程度です…)。素晴らしいテノールですね。軽めの声もこの作品に合うかも。
これら一線級の歌手と互角に渡り合っていたのがまだスターダムにのし上がってから数年しか経ってないミード。07年メトの歌唱コンテスト優勝、08年メトデビュー、ようやく欧州にも出始めるようになった段階だが、声は表現力・声質声量ともにもうトップクラス。左に回転するか右に回転するかしか演技の余地がないような体型のため、最終的に欧州でトップリーグに残るのは難しいかもしれないが、メトの主戦力としては今後数十年安泰かも。
そしてドミンゴ。第1、第2幕ではこれらの歌手と比べて前に出てくるわけでもなし特段光るわけでもなし、74歳とは思えない声なのは確かだが74歳の経験値も見せてこないなぁと思ってたが、単に自分がこの作品に不案内だっただけ。ドンカルロは第3幕で説得力のある歌を聴かせればそれでいいし、ここでドラマを紛れさせるような(後述)歌唱をしないと仕事をしたことにならないのね。彼は仕事をした。完璧に。あの2つのアリアだけは完全に舞台を支配。
そしてレヴァイン。中庸の美、中庸の極致。特段の際苦も無く、速すぎず遅すぎずヴェルディの流れに沿っていくこの快感。ルイージやペトレンコの煌めき・テンションとは対極にあるが、魅力は同格。来月の仮面舞踏会、来シーズンのシモンが楽しみだ。

演出。再演、エルナーニ以外は全員別キャストなのでほぼ無演出状態なのかもしれないが、本当に無演出だった(笑)豪華な舞台装置までで仕事終わり、ドラマの補強補足を根本的に放棄した田舎芝居。
この作品がメジャーになり切れないのはひとえに台本の弱さ(あと音楽面での決定的なハイライトに欠けるというところもあるかもだが)。とにかく機械仕掛けの神様/機械仕掛けの悪魔様が多すぎる。最後に角笛のお迎えがかかってエルナーニが自害する点(誓約は命より重いということなのだろうが、その表現が不十分)、第3幕最後でドンカルロが突然考えを変えるところ(先人を顧みて寛大・寛容の精神を自覚した、というところなのだろうが、明らかに舌足らず)、等々。これら作品がカバーできていないギャップを埋めて一貫性・説得力を持たせるのが演出の仕事のはずだが、0点。まあ、そういう演出はここでは求められていないのだろうが。実際、ここまで優れた歌手を集められるのなら、彼らの歌唱でカバーできるのは事実だし。先述のドミンゴの第3幕の歌唱は、あらすじを何回読んでも意味不明な展開だったのが、理屈抜きで合点がいく歌唱だった。
もう一回行きたいが…。こんなことヴェルディの作品で思える自分が驚き。

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