ネット上で飛び交っている議論には、「偏り」があるのではないかと最近感じるようになりました。特に敗戦後の日本では「もっぱら内に籠もり、何でも自力で解決できる範囲で考える」と言う傾向が強くなったのじゃないかと思います。そんなことはない。「日米安保条約があるじゃないか」と言われるかも知れませんが、あれは大国アメリカが日本を鎖につないでいる「条約」であって、本来あるべき嘗ての「日英同盟」のような、相互の国益を守るための「共栄関係」の物ではありません。
一つの目的を達成するための方法には、いろんな多角的なアプローチがあるはずです。その目的に向かって「一直線」に突き進む傾向が強いのではないか?できれば「複眼」で物事を考えて、最も費用対効果が優れている「作戦ミックス」を選ぶべきで、さらに言えば「その目的達成の暁には、その後に新たな障害が生まれてこないまでに完ぺきな結果を実現する」ものであったり、「次の段階に進むための基礎固めと言う副次効果もあらかじめ狙っておく」と言った「多角的な視野」が必要ではないかと思います。
ところが、実際には日本人の議論は「目先の障害に対して、どのように回避するか?」の一点に絞られていることが多く、その結果「問題が先送り」されたり、「朝三暮四の順次対応」であったりで、「根本的な手術」を施さず、「痛みどめや絆創膏」でごまかすことも多いので、結果的に問題をこじらせて、却って課題が膨らむ結果になって、大きな負担を強いられることもたくさんあるように思います。
たとえば、昨日の「ハワイ」で書きましたような内容を見て、多くの日本人は「何も気づかなくなってしまった」と思います。すなわち、ネイティブ・ハワイアンたちは大東亜戦争をどのように思って見ていたかを、多くの日本人は考えていなかったのじゃないか?”もし、この戦争で日本が勝ってくれたら、ハワイは元に戻ってアメリカの支配から逃れられる。日本よ勝ってくれ!”だったはずです。だとしたら、大東亜戦争に勝つためには、ネイティブ・ハワイアンを活用しない法はありません。アメリカ内部から破壊工作をしてもらう戦術だってあり得たはずです。
ご存知のようにアメリカにはCIAと言う特殊機関があり、諸外国に対する「諜報活動」のみならず、「工作機関」として対外的に「政敵の抹殺」や「世論操作」をしています。同様の「特務機関」を日本は戦前に手広く展開していました。わかりやすく言えば「隠密」を放っていたわけです。その機能は戦後も形を変えて残されており、児玉誉士夫さんや小佐野賢治さんのようなフィクサーが動いたり、日中国交回復時には公明党の竹入委員長が田中角栄さんの親書を運んだりして、個人的なネットワークが生かされて、「多角的な戦略」が展開されてきました。
ところが、日本が国際的に認められ、多くの国々と貿易も活発化し、人の行き来も頻繁になるにつれ、こうした「ウラの機関」が朽ち果ててしまったように思われます。つまり、たとえば中国などでもあれほど激しく権力闘争を引き起こしていることからすれば、当然政敵も多くいるはずであり、そのルートを焚き付けて内乱を引き起こさせれば、「尖閣問題」や「日貨排斥問題」などに構っておれなくなるわけで、ここで「中国流のやり方」で考えれば、「政府系の商社」を潜入させて、「政敵側に資金を渡して抵抗勢力を支援する」ことによって、「国家を不安定にする工作」をすればよいわけです。
残念ながら、今の日本の「思考回路」の中では、あくまで「国内に引きこもり」尖閣に漁船が来てから「出ていけ!」と追いかけるだけで、小笠原のサンゴも荒らし放題、排他的経済水域での密漁もやられ放題のままになっています。ここにあるのは「憲法9条」であり、『日本からは絶対に攻めていかない』と言う「制約」が余計に日本を危険に貶めている、つまり『自縄自縛状態』になっていると思うのです。ご存知のように、いくら日本だけが「平和国家ズラ」をしても、ロシアにKGBもどきがあり、アメリカにCIAがあり、中国にサイバー部隊があり、それぞれ自国の利益のために他国を裏から破壊しています。
特に日本人が危険なことは、70年にわたるアメリカの洗脳教育の結果、こうした「ウラ工作」に全く目を塞ぎ、「清く、正しく、美しく」を文字通り信条として生きれば、「平和に暮らせる」と思い込んでいることです。もっと危険なことは、「自衛隊さえあれば日本の平和は守られる」とマジで思い込んでいることです。「自衛隊だって神様ではありません」。百戦百勝とは行きません。ミッドウエー会戦のように、何かの切っ掛けで主力部隊が壊滅したら、他がいくら精鋭部隊でも苦戦は免れません。つまり「晴天計画」だけでは危険なのです。
そのような意味で、改めて世界地図を引っ張り出して、どこをどのように組み合わせたら我が国がもっと発展できるのか?その為には何処とどう組んだらもっとも効果的な国益が作れるのか?「国家戦略」を国民みんなが念頭に置いて行動してこそ、栄光ある日本を未来の子孫に残すことが出来るのじゃないかと思います。それを、「訪日中国人の爆買い」と言った目先のニュースに大喜びして、「一面だけの思考回路」だけで満足していると、近い将来泣きを見る結果になると思うのです。
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