mixiユーザー(id:1527359)

2015年02月21日20:17

695 view

たまには仕事関連のことを語ってみる。

遅まきながら、昨日やっと会社の新年会があったy-tokuです。
アクチュアリー試験の合格発表も終わったので、そのお祝い&残念会も兼ねて。
今年度は1次試験が難しかったですが、これが通常のレベルだと認識して
受験生の方々には翌年度以降に向けた勉強に励んでいただきたいです。

さて、今回は仕事関連のお話です。
今年度のアクチュアリー試験は合格発表まで含めて無事終了しましたが、
その中の「損保1」で以下のような問題がありました。

情報技術は近年目覚ましい進展を遂げている。
保険会社はこれらの技術を利活用することにより、従来危険度の測定が困難であった
リスク要素に関する情報を取得できる可能性がある。
自動車保険を例にとって、情報技術の進展により従来では
保険会社が取得できなかった運転性向(例:急ブレーキ・急アクセルの回数)の情報が
取得可能となった場合に、そのリスク要素を保険料算出に反映すべきかどうかを
検討する際の留意点について、アクチュアリーとしての所見を述べなさい。


ご存知の方もいるかもしれませんが、いわゆる「テレマティクス保険」です。
交通事故防止・軽減にも一役買うのではないかということで
ここ数年注目を集めています。
こうしたトレンドを的確にキャッチして、実際に導入する際に問題はないかと
考えることもアクチュアリーとしては重要なわけです。

世間では消費者の立場では「テレマティクス保険」は賛成派が多いように見受けられますが、
先日、保険アナリスト植村信保氏がやや否定的な意見を述べてられました。

http://nuemura.com/item_1979.html

日本での普及には時間がかかるのではないか、としたうえでその理由としては、

・運転特性による事故リスクの一部は、現在の等級にすでに反映済。
・運転特性を根拠にした保険料の引き上げは顧客の納得感を得られるか疑問。

ということでした。

1点目に関しては「分離の必然性」の観点といえます。
自動車保険の等級は過去の事故等によって決められているので、
事故リスクと等級はだいたい比例的だと考えれば、
既にリスクの大小で保険料も分離されており、
改めて運転特性を用いる必要性は低いということでしょう。
この点はアクチュアリーとしては納得いく内容であるのですが、
消費者側から見れば「それでも保険料が少しでも安くなるならそのほうがいい」
という意見もありそうですね。

2点目は「定義の明確性」・「社会的容認」の観点です。
運転特性は運転する場所・車の大きさや性質によって変わるでしょうし、個人差もあります。
一口に「安全運転」といっても状況によって異なります。
極端な例ですが、高速道路ではスピードを一定程度出すことが安全とも言えます。

安全に運転しているつもりでも実は安全運転じゃなかったと判断され、
保険料を値上げしますと保険会社から言われたら
大半の方はやはり納得いかないのではないでしょうか。
もちろん、これによって世間の運転標準を知り、もっと安全に配慮しなければいけないと
良い方向に捉えてもらえる可能性もありますが、全てそうなるとは言い難いです。

また、個人情報ともいえるドライバーの走行データが保険会社に
丸わかりとなってしまう点もデメリットとして挙げられます。
特に日本は海外諸国と比較して個人情報には敏感ですからね。

植村氏は、「テレマティクス保険」という語感だけでバラ色の夢を語るのは
あまり現実的ではない、としています。
確かに実現には課題は多そうですが、一方でテレマティクス保険の先進国である英国では
17〜21歳の加入者の事故率が、75%も低下したという事例が報告されています。
日本の場合だと運転免許を取得する20歳前後の男性の死亡率は
交通事故を主要因にその前後の年齢帯よりも高くなっていますから、
若年層の死亡事故防止には効果があるかもしれません。
損害保険会社の方々にはこうしたメリットを最大限活用できるような
保険商品を開発していただきたいものです。

という、某生命保険会社職員の個人的コメントでした。(^^)
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年02月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728