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2015年02月21日18:47

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「リトル・フォレスト 冬/春」

「リトル・フォレスト 冬/春」 ’15


監督・脚本:森淳一 原作:五十嵐大介 撮影:小野寺幸浩
美術:禪洲幸久 録音:田中博信 編集:瀧田隆一
スタイリスト:宮本茉莉 ヘアメイク:小林真之 音楽:宮内優里
m:三浦貴大,温水洋一
f:橋本愛,松岡茉優,桐島かれん


五十嵐大介のマンガを森淳一が映画化した作品の後篇。
「夏/秋」に続き東北の村 小森の「冬/春」が描かれる。
これ、元のマンガが
田舎での農耕生活と食事にまつわる“日常”を描くもので、
五十嵐大介が実体験を彼の驚異的な画力でマンガにしているのを読む…
そういう作品である。
なので映画は
五十嵐大介が絵で描いた料理や農作業や四季の風景を
映像にしてみせるだけで、
それ以上欲を出していない…ところが正解だと思う。
主人公いち子を美人さんの橋本愛が演じ
都会から逃げて来た若い女性がそういう自分と向き合う…なんて
美味しそうなテーマが匂わされるから、
欲をかくとつまらんドラマになってしまいそうなところを
森淳一は原作のよさから決して外れないよう
スローフード スローライフを恬淡と描くことに徹している。
いかに五十嵐大介の絵が上手かろうと
“ばっけみそ”だの“ひっつみ”だの“2色クリスマスケーキ”だの
色や質感の想像できないものがあって、
原作そのままの 橋本愛の愛想のないナレーションで
そこを丁寧に映像にすることに映画化の意味がある…
森淳一はその辺をよく解かっているのだ。
なんと言うか この人は上質な少女マンガを解する感性があって
そういうタイプの“よさ”を演出するのが上手いのだ。
だからたぶん男らしいドラマ(そんなものがあるとして)には向かない。
『重力ピエロ』も乙女チックな感性で撮ってしまったから
ミステリーとしての強度を失ってしまったのだと思う。
本作は乙女チックではないけれども男らしい構造のお話ではなく
しかも 森淳一の読解力はあやまたず原作を捉えるので
実に彼向きの作品であり
便利を享受しない生活―
手間暇を惜しまない日常―
美味しく食べるための努力―が美しい画になった
美味しい映画に仕上がっていると思う。
原作を読んでいても 描かれる食材や料理が旨そうで涎が出るんだけど
映像になると 更に食欲が刺激されるから
お腹がすく映画だよ(笑)。
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