１８日は「おみおくりの作法」
「バベルの学校」を観に行きました。
「おみおくりの作法」、
こんな…韓国映画並みに泣ける映画だと思っていなかったので
ラストで大泣きして
エンドロールが終わるのが速くて困ってしまった…！(笑)
いい話だなぁ…！
「バベルの学校」、
パリの中学校の「適応クラス」に取材したドキュメンタリー。
様々な国からの難民，移民の子どもたちが
フランス語の集中トレーニングを受けるクラスに１年間密着しているのです。
非常に面白いっ！
ここには世界が抱える問題が凝縮されているのです。
本日はアカデミー賞獲得の予想も高い
『カポーティ』のベネット・ミラーの新作。
おっそろしく重たい映画でした！
中に９０分で５．５�� 体重を落とすシーンがあって
そんなことが可能なのか？！と
ジムのインストラクターの人に訊いてしまった！(笑)
ん〜…３�� くらいなら可能かな…と思うけど…と言われました。
「フォックスキャッチャー」 ’14 (米)
監督：ベネット･ミラー 脚本：マックス･フライ，ダン･ファターマン
撮影：グレッグ･フレイザー 美術：ジェス･ゴンコール
衣装：カシア･ワリッカ･メイモン 音楽：ロブ･シモンセン
編集：スチュアート･レビ，コナ･オニール，ジェイ･キャシディ
ｍ：スティーヴ･カレル，チャニング･テイタム，マーク･ラファロ
ｆ ：ヴァネッサ･レッドグレイヴ，シエナ･ミラー
’14 カンヌ国際映画祭 監督賞
“なぜ大財閥の御曹司は、オリンピックの金メダリストを殺したのか？”
というコピーが、いかにも怪しいベネット･ミラーの新作。
金メダリストでありながら不遇を託(かこ)つレスリング選手の兄弟が
財閥の御曹司が作ったレスリングチームに勧誘される。
弟マーク･シュルツと富豪ジョン･デュポンは初め良好な関係と思われたが
兄デイヴがチームに加入すると 互いが引き合う力は歪み出し
ソウルオリンピックを経て悲劇が起こる―。
不穏な映画である。
冒頭のマークの孤独な練習風景から
映画はその陰鬱なカラーを一切変えることなく
呼吸困難で喉がヒューヒュー鳴るような息苦しさが増して行き、
あの最後の銃声が響きわたるまで
観客は映画の不穏に呑まれて呼吸するのを忘れてしまう…
そんな気持ちの悪い手触りの映画である。
これは実話なのだが、
統合失調症の富豪が自らのチームの選手を射殺した―
という事件と結末を知っていても、
富豪と兄弟、３人の存在の力学を読むドラマに見入ってしまう。
母に認められたい欲望と母の抑圧に喘ぐジョン･デュポン―の鬱屈と
両親の離婚により兄デイヴの“父性”に庇護され育まれたマーク―の
何者かでありたい悲痛な欲望が響き合い
薄ら寒い充実が危うい均衡の上に成立する件りから、
映画は彼らの非健康な人間を静謐に語り続けるのだが、
健全で健康なデイヴ･シュルツの“完璧な父性”がそこに介入すると
彼の正しさはジョンとマークの関係の脆弱を暴き出してしまう。
母を納得させるようないっぱしの男でありたいジョンも
兄に頼らずに一人前の男になりたいマークも
正しく強い父なるデイヴを“超えるべき目標”ではなく
“私”を阻止する“障壁”と捉えて
嫉妬や羨望といった負の感情に落ち込んで行き
３人の関係は軋み続ける。
ベネット･ミラーの３人の造形は見事で、
観客は３人の力関係と名状し難いそれぞれの思いを
ただただ重苦しさを増す語りの中に眺めるしかないのである。
あの発砲により解放されるまで我々は息を殺しているばかりなので、
不遜だが デイヴ殺しが成って初めてドラマが動き
答えが見つかるかもしれない解放感を手に入れるのだ。
誰が導き出しても その答えは気持ちの悪いものではあるのだが…。
こんなに爽快さから遠い映画のモチーフが
オリンピックを目指すレスリングというスポーツなのがすごくないか？
これだけ互いの身体が密着する競技はないと思うし
身体の親密と心理の離反が
あからさまにSEXを連想させるから、
鍛え上げられたチャニング･テイタムの身体が
もはや痛ましく憐れなもののように見えてしまう。
そのように撮ったベネット･ミラーの文法を褒めたい。
３人の役者の演技は文句なく素晴らしい。
しかし何より
３人の男の力学の不気味さを語る演出がよくて
カンヌでの監督賞受賞が頷ける秀作である。
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