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2015年02月10日14:53

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本分と余技:2/8 レヴァイン/メト管 シューマン2他

The MET Orchestra
James Levine, Music Director and Conductor
Anna Netrebko, Soprano
Program
BEETHOVEN Symphony No. 2
DVOŘÁK "Song to the Moon" from Rusalka
R. STRAUSS "Cäcilie," Op. 27, No. 2
CARTER Three Illusions
SCHUMANN Symphony No. 2

只今カルメンを歌っているガランチャが病欠ということで、代打にネトレプコ。流石にベルクの初期の歌は無理ということで、ルサルカのアリアとチェチーリエに変更。レヴァインの新ウィーン楽派をもっと聴きたかったのだが。

冒頭のベト2は、なんというか、普通すぎるほど普通の演奏。第2Vn16、Va12、Vc10(他は見えず)、木管は倍管せず、という懐かしい光景で、懐かしいほどまったりと、刺激物もギアチェンジもなく進む。よく言えば王道、悪く言えば一本調子。この作品は青春期特有の秒単位の気分の移ろい、突発的な激情が魅力。と個人的には思う。それをのっぺりやられちゃ・・・

という欲求不満はルサルカで一掃。冒頭の弦の導入から真のドラマの始まり。ネトレプコは何回でも言うがドラマのハイライトの掴みが確実。満場大歓声。ルサルカ、その他のドヴォルザークのオペラも、一回じっくり聴いてみたいもんだ…
の次にシュトラウス。はい、よくできました。

カーターの3つの幻想は、本来はベルクの7つの初期の歌と対で、19世紀独古典/ロマン派と20世紀音楽を対比しようという趣旨だったのだろう。ただガランチャの急な降板に伴う緊急対応で、そんなコンセプトは吹き飛んだ、と(そりゃあコンセプト云々より、ガランチャに匹敵する(越えてるかもだが(笑))代打を見繕う方が優先だろう)。作品としても、初演者の指揮ではあるが、自分にはピンと来ず。というかカーターはあまりよく消化できない。

そしてシューマンの2番。過去数年の間に、スクロヴァチェフスキという傑出したシューマン指揮者(ですよね?)の1〜4番を一周以上聴く幸運に恵まれ、更にはハウシルトという、日本には結構ごろごろいる「忘れられたドイツ系巨匠」のラインも聴くことができた自分は、耳が少々肥えすぎているのかもしれない。自分のこの作品の決定版のクリーブランド管ルガノライブ(ですよね?やっぱ(笑))で振っていた指揮者の見習いからキャリアをスタートした彼、何か光るものはあるかも、と期待してはいたが、やはり見習いを務めることと特定作品で成果を挙げることは別物。悪いとはもちろん言わんがスケジュールを無理やり調整して来るほどでもない、一本調子気味の丸い演奏。彼のフィラデルフィア管とのマラ10は今でも素晴らしいと思うし、ミュンヘンフィルとのマーラーも素晴らしかったが、やはり彼は交響楽の人というよりドラマの人なのか。そんな彼を、フィラ管やミュンヘンフィル等の国際S級コンサートオケならまだしも、オペラが本分のメト管が余技で支えられる筈がないのも当然か。

今シーズンは残りは幻想(室内管もあるが、ちょっと行けず)。来シーズンは悲愴、シュトラウス特集(町人貴族組曲!)、リング抜粋の3演奏会、室内アンサンブルは時の終わりの四重奏曲。メト管が(シーズンに分散してではなく)オペラシーズンが終わった5月中旬に3回連続、室内アンサンブルが1回のみというのは世知辛さを感じるが、まあしゃあない。リングは楽しみだし、今シーズンのピエロに続き時の終わりを採り上げてくれるのは大感謝。

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