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2015年02月03日23:10

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「ミルカ」 「ビッグ・アイズ」 「アゲイン 28年目の甲子園」 「深夜食堂」

1日は「ミルカ」
    「ビッグ・アイズ」、

2日は「アゲイン 28年目の甲子園」
    「深夜食堂」を観に行きました。



「ミルカ」 ’13 (印)

監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メヘラー
m:ファルハーン・アクタル

インドの国民的英雄である陸上競技400m走者ミルカ・シンの伝記映画。
1960年ローマ五輪400m走決勝、メダル確実だったミルカ・シンは
ゴール直前で後ろを振り返るという失態を犯し4位、インド国民を失望させた
…というエピソードから始まり、
自宅に引きこもってパキスタンとの親善陸上大会副団長を固辞するミルカを説得するため
ネール首相の命を受けたスポーツ担当相がパンジャーブ州へ向かう汽車の中で
かつて軍隊でミルカを指導したコーチからミルカの来歴を聴く
…という構造の映画。
「走れ、ミルカ、走れ」というのが原題で、
コーチが叫ぶこの声が「逃げろ、ミルカ、逃げろ」に重なって
少年ミルカの逃走が度々挿入されるので
印パ分離独立の際の悲劇が背景なのはさっさと解かってしまうけれども、
難民キャンプでの少年時代、列車の石炭泥棒を働く不良少年時代、
恋をして“まともな男”になろうと軍隊へ入隊する件、
陸上に出会い めきめきと頭角を現し 国内屈指のランナーとなって
世界大会へ 世界記録へ…と展開する語りは爽快で
ハリウッド的洗練を見せる演出が気持ちよくて
サクサクと観てしまう。
インターナショナルバージョンとはいえ153分は長いのでは…と危惧したが
お約束の歌と踊りも気にならないほど控え目で(むしろ愉快で)
大変楽しめた。
ミルカはシク教徒で、独特の髷やそれを巻くターバンという姿と共に
イスラム対ヒンドゥーの殺戮―という認識だった印パ分離独立時の悲劇に
パンジャーブ州のシク教徒も居たこと―を知ったし、
シク教の教理―
それによるシク教徒の社会への進出―と、
とてもとても勉強になった。
プロゴルファー ジーヴ・ミルカ・シンは彼の息子だとのこと。



「ビッグ・アイズ」 ’14 (米)

監督:ティム・バートン 脚本:スコット・アレクサンダー,ラリー・カラゼウスキ
撮影:ブリュノ・デルボネル 美術:リック・ハインリクス
衣装:コリーン・アトウッド 編集:J・C・ボンド 音楽:ダニー・エルフマン
m:クリストフ・ヴァルツ,ダニー・ヒューストン,ジェイソン・シュワルツマン
  テレンス・スタンプ
f :エイミー・アダムス,クリステン・リッター

夫が妻の描いた絵を自作と偽って売り 大儲けした
ゴースト・ペインター事件の映画化。実話である。
ティム・バートンは、ウォルターとマーガレットのキーン夫妻の
驚くべき そして呆れた関係と事態を描いているのだけれど、
抑圧され搾取されるマーガレットが裁判で勝利し
“私”を取り戻す壮快な物語―にはもちろんしていなくて、
クリストフ・ヴァルツ演じる夫ウォルターの非好印象(・・・・)が牽引するドラマの
イロニックな語りを読む―仕様になっている。
マーガレットが描いた「ビッグ・アイズ」の少女像は60年代にブレイクしているから
彼女が最初の結婚をし娘を産んだのは50年代、
冒頭にこの時代は夫たる男性の権力が強く
女性は結婚して夫に庇護されるべきものだった…と説明されるのだが、
説明されるまでもなく
思惟太の母たちの世代はそういう意識でそういう結婚をしていた。
だからマーガレットが夫の都合のいい発言に言いくるめられ
はっきりしない態度できちんと言い返せないまま事態を収束させてしまう…のも
違和感なく受け入れてしまう。そんなもんだったのである。
だから愚かな男に当たった結婚がいかに悲惨だったか…
たぶん今だって結婚は当たりくじみたいなもんだと思うけど、
マーガレットが男性に対して精神的に脆弱な特殊な女性だった―
わけではないということ。
で、その妻を何の中身もないウォルターが口八丁でいいように支配するわけで
その不愉快なことと言ったら!(笑)
(笑)なのは、彼の言動が笑えるように演出してあるからで
クリストフ・ヴァルツはこの殺したいくらい腹の立つ男を
実にキュートに(?)演じていて、ホントにこの人は
“唾棄すべき厄介な男”を演じさせたら世界一なんじゃないだろうか?
一方エイミー・アダムスはマーガレットの優柔不断な態度や
奥歯に物がはさまったようなもの言いから
彼女の不安や孤独を繊細に演じて素晴らしいのだけれど、
観客はおそらくマーガレットに共感しない―ように造形されているところが
いかにもティム・バートンじゃないか…!と思ったりする。
女性がアイデンティティを取り戻す感動話―にはなっていないもの。
クリストフ・ヴァルツのクソ野郎を観るだけでも
お金払う価値あると思うよ(笑)。



「アゲイン 28年目の甲子園」 ’14

監督・脚本:大森寿美男 原作:重松清
m:中井貴一,柳葉敏郎,村木仁、太賀,工藤阿須賀,浜田学,西岡徳馬
f :波瑠,門脇麦,和久井映見

28年前地区大会決勝を前に部員の起こした暴力事件から出場を辞退した
高校野球部の面々がマスターズ甲子園を目指す
重松清の小説の映画化作品。
予告編を観ただけで 大方の内容は判ってしまうし、
元高校球児たちのキャラ造形も40代のおじさんである彼らの背景も
よくできているなぁ…とは思うけれど新規ではないし、
28年前の暴力事件の真相も呆れるくらい想定内で、
予想した大方の内容―を確認している気分なのだけれど…
ああ、いい話だ!
大人の心にしみる大人のドラマだ!
というのも、マスターズ甲子園を目指すおじさんたちのドラマは
当然野球にはなくて、46歳のおじさんたちは
別れた妻が育てた大学生の娘との軋轢を抱えたり
失業中で それを隠そうとする態度を小学生の娘から軽蔑されたり
なかなか情けない状態で、
そこに暴力事件を起こした張本人の娘が現れるのだから
清算できていない恨みや悔しさが喚起されるわけで、
おじさんたちの心はかき乱されるわけなのだ。
主人公 坂町と張本人で東北の震災で命を落とした松川の娘 美枝の関係が
ぎこちなく醸成されて行く美しさも
甲子園球場での娘 沙奈美とのキャッチボールも
松川の遺品であるグローブに残る「一球人(・)魂」の文字も
よくできたドラマ、設えられた感動作というより先に
素直に涙してしまう よき映画なのだ。
マスターズ甲子園の主旨や開催のシステム試合のルール等
知ることができて興味もわく。
誰でも参加できる甲子園球場での「キャッチボール」、
なんて素敵な企画なんだろう♪
大スクリーンで観ることもない、
TVドラマでも十分だったかな…?と思わないでもないけれど
とてもいいドラマ、いい映画だと思う。



「深夜食堂」 ’14

監督:松岡錠司 脚本:真辺克彦,小嶋健作,松岡錠司
原作:安倍夜郎
m:小林薫,柄本時生,筒井道隆,オダギリジョー
f :高岡早紀,多部未華子,余貴美子,田中裕子

人気TVドラマの映画化。
これもまた何で映画館の大スクリーンで上映しなきゃいけないの??
みたいな地味なドラマなのだ。
映画のチラシを見た時からそう思ったし
観終わった後も全くその通りだと思う。
その夜の料理一品にまつわるお客のドラマが紡がれる仕様はそのままだから
映画館で上映するにはミニマム過ぎるだろ!ドラマが。
でも たぶん観客は
ドラマの舞台である小さなちいさな「めしや」そのままの
“小さくて居心地がいいお話と感慨”を求めて映画も観るのだろうから
それでいいのだ。
概ね4つのお話を概ね2時間で披露するのだから
1話30分というのもTVと同じだしね。
TVシリーズのよい読者ではないけれども
夜毎のお話にはやはり出来不出来があったと思う。
今回の4つのお話はどれも悪くはないが
とびきり面白い!というわけではないような…。
でもこのドラマの美味しいところは
夜毎のお話がたいしたことなくても
めしやに集う常連さんたちのキャラとマスターが料理を作る手元の映像が
ちゃんと補完してくれる―ところだと思う。
劇場版もその通りで
要はTVシリーズの蓄積がドラマのよさを保証している…
そういう映画なのだと思う。
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