何度か見かけた脊髄小脳変性症患者の女性がいらっしゃいます。
その女性は、キャリー・バッグを携行して歩いていました。
しかし、足取りが危ないのです。
私が見ている時にも転倒しかけたり転倒したりしました。
どうも見た感じでは、杖か歩行器が必要な病状に見えました。
健常者がキャリー・バッグを携行して歩いているようには、到底見えないのです。
きっと、障害者だということを周囲に悟られたくないのでしょうね。
それで、無理をしてキャリー・バッグを携行して杖代わりにして歩いているのでしょう。
思い返せば、私にもそういう時期がありました。
数年から10年くらいそういう時期が続きました。
周囲に悟られたくなかったのです。
いえいえ、自分で認めたくなかったのです。
当時は、まだ病名が判明する以前の時期でした。
体の調子が悪いのに、自分でそれを認めたくなかったし、
周囲に悟られたくなかったのです。
振り返ると小児喘息が再発した時も、私は周囲に悟られまいともがいていました。
治ったはずの小児喘息が再発。
応援してくれた両親・妹・先生・友人に合わせる顔が無い。
そう思って孤軍奮闘していたのです。
喘息の発作で息が苦しいのに、人と会うときは、なるべく呼吸を止めていました。
呼吸をすると、喘息特有のゼーゼーという呼吸音が聞こえてしまうからです。
そうやって自分を偽って、周囲にも体の不調を隠し続けて苦しんだ時期が長かったのです。
脊髄小脳変性症もそうでした。
体の調子が悪いのに、自分でそれを認めたくなかったし、
周囲に悟られたくなかったのです。
そのせいか、病院で病名を告げられて説明を受けたときは、嬉しかったです。
もう、周囲に隠す必要も無いのだ。
自分を偽る必要も無いのだ。
これからの人生は、障害者である自分を素直に出して歩いてゆけるんだ。
そう思うと嬉しかったです。
今の私は、障害者として車椅子ユーザーとして、
何1つ自分を偽らず、何1つ周囲に隠すことなく、ノビノビと生きています。
続く
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