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2015年01月28日13:14

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邦人人質事件とヨルダン軍パイロットについて所感

後藤さんの解放に向けてはもうお祈りしかありません。
お母さんが少し「アレ」な人に見えますが、この時期息子を思う母親の気持ちを茶化すヤツは「人非人」でしょう。


以下、兵頭二十八氏のブログより抜粋と所感(↑※)です。
http://sorceress.raindrop.jp/blog/



イスラム国に捕虜になっているヨルダン空軍のF-16AM機のパイロットの階級は中尉(First Lieutenant)である。名前は Mu'ath Safi Yousef al-Kaseasbeh という。

2014-12-24は水曜日。その日の早朝に、このアルカセスベー中尉はシリアのラッカ市(ISが占拠中)上空で何らかの理由でベイルアウトした。
ラッカ市の近郊にハムラ・ガナンという村があり、ベイルアウトの結果、その近くの湖に着水したらしい。IS戦闘員により、水面から引き上げられて、そのまま捕虜になった。
 
米軍とアラブ諸国の「有志連合」によるシリア内のイスラム国目標に対する爆撃は、2014-9-23からスタートしている。
 シリア空爆に参加しているアラブ諸国空軍は、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、UAEで、カタールは基地提供で協力している。
 しかしイスラエル筋によれば、その墜落以後、ヨルダン空軍は、空爆を止めた。ISとネゴシエーションを続けている傍証である。

ヨルダンは対ISの情報収集の結節点である。
ヨルダン国王は、ISは武力だけでは退治できないと言っている。理性によって彼らのイデオロギーと対決する必要があるんだ、と。

      ↑

※テレビで複数の「イスラム情報家」を自称する連中が「日本政府はトルコから指揮しろ!キリッ」とオバカ発言を繰り返したが、完全に間違いである。
ヨルダン軍情報部はイスラエルのモサドを除けば中東でも秀逸であるし、アブドラ国王は完全なる英国派である。
(彼は母親が英国人のハーフであるし、英サンドハースト陸軍士官学校卒。戦車もヘリも航空機でも操縦できる)
日本政府も米英政府からトルコのエルドアン大統領が、ビジネス事項は別にしてIS相手にはイマイチ信用ならんという情報くらいは貰ってるのだろう。
今回日本政府からトルコのトの字も出ないのがその証拠ではないか。
恐らくISの情報を一番持ってるのはモサドか、ISと完全に敵対するシーア派イランの秘密警察サバクだろうが、両国の在日本大使館から日本政府代表が指揮すればそれこそシャレにならんでしょう。
だが本来はそれ位の力量と覚悟を日本政府が持ってれば、そもそもこんなことにはならんのですが。
ところが在ヨルダン大使館から日本政府が指揮を始めた途端に「待ってました!」とISがサジダ容疑者の釈放を言い出したのは、完全に裏目に出たのが誤算だったわけであり、これは致し方ない話であります。

 

有志連合がISを空爆し始めてから最初の軍人捕虜が、この中尉であった。 ヨルダン政府は公式にはISのことを「デシュ」と呼んでいる。
英国のハモンド外相は、この捕虜パイロットについての懸念をすぐに表明した。なにしろイスラム国はその時点で3人のアメリカ人と2人のイギリス人を斬首していたから。

ヨルダン情報相は、F-16は地上砲火で撃墜されたと語った。
しかし米米軍のセントラルコマンドの司令官ロイド・オースチン大将は、これは撃墜ではないと否定した。さりとて、ベイルアウトの真因は語らず。

ロシア製の小型対空ミサイルである「イグラ」やSA-7ストレラがISに保有されているのは確かである。イラク軍やシリア軍がストックしていたものが、鹵獲されているから。1991湾岸戦争では、1機のトーネイドがこの肩射ちミサイルで落とされてもいる。

しかし、他の多くのF-16はSAMで狙われたという報告を全然していない。F-16は高度6000m以上をキープするよう命令されているはずなので、射程の短い手持ちミサイルが当たるはずがないのだ。だから、この機体は機械故障を起こしたのか、さもなくば、パイロットが愚かにも低空を飛んでみすみすAAの餌食になったのだ。中東では、まるで適性などない若者が、王族や金持ち家庭の出身であるというだけで戦闘機パイロットになっていたりすることは、よくある。
(※このパイロットのお父さんがTVに出てきたが、服装からするとアブドラ王族の親戚みたいですね)


 2014-12に、この中尉をISが訊問する模様がビデオ公開された。
米国は、ビデオ映像からその場所を特定したらしく、2015-1-1のPM:11時30分に、シリア・ラッカにおいて救出作戦を実行した。
複数の固定翼機(※機種不明とあるがガンシップAC−130だろう)が低空から多数の照明弾を落とし、且つ、地上攻撃をする中、2機のヘリコプターが、市の東郊の屋敷に着陸しようとした。だが地上から小火器で猛烈に射たれたことで、2機とも着陸を断念した。
その直後に、やはり2機のヘリコプターが、ラッカ市街の某所にやはり着陸しようとしたものの、こちらもまた同じように地上からの乱射を受けるや、着陸せずに飛び去った。
中尉奪回作戦は、失敗したのである。
2014-6に、米軍特殊部隊は同じような失敗をしている。このときは、民間人のジェイムズ・フォーリーを救出しようとしたのだが。フォーリーは斬首された。

従ってヨルダンでも、やろうと思えば隣国に対して自力で捕虜奪回作戦もできる。
しかし大問題は、捕虜の現在位置についての正確な情報が無い。
次の問題は、ヨルダンからシリア・ラッカまではブラックホークなら往復できても、コブラは脚が短くてそこまで作戦できない。
ブラックホークでも、増槽が必要になる。
ヨルダン軍のUH-60は空中給油機能がない。シリア砂漠でC-130に給油させるという方法はある。
またパイロットや潜入民間人は、衛星に自己位置を教えるビーコンを体内に埋め込むべきだ、という意見があった。
    ↑
※1980年に米軍がイラン人質奪回作戦(イーグルクロー作戦)の大失敗の原因が砂漠でヘリに給油することであったから、やらないでしょう。
映画「ブラックホーク・ダウン」で捕虜になったヘリパイロットは服にGPS発信装置が付いているのだが、それを周知のアイディード派民兵にすぐ脱がされてしまい実際には役に立たなかった例があるので、手術でGPS発信装置を埋め込むのはいいアイディアかも知れない。
経験豊富(その割には失敗が多いが仕方が無い)の米軍特殊部隊(シールズかデルタかは不明)でも奪回に失敗しているということは,ISは只者ではないということである。
メンバーには元イラク軍関係者が多いらしいのだが、長年のイラク戦争で米軍のやり方を周知しているのであろう。
これでは未経験な自衛隊では救出作戦で逆に人質になってしまう可能性が高い。ヨルダン軍が奪回作戦をやらないのも、上記物質的理由もあるが人質を取られて心理的にビビッてしまったのも大きい。

仮に「自衛隊が奪回やるお!」となったとして、必要なものが、ヘリ強襲揚陸艦、大型輸送機、空中給油機、輸送ヘリ、攻撃ヘリは単なるモノだから買えばいいとしても、(軍オタはこれだけで満足するからダメ。必要なのはソフトでありドーグではありません)統合作戦本部機能及びトレーニングが全くないし、元より「在外邦人人質は必ず奪回するお!ガッツ」も全く無いと言うことで出来ません。

それならば映画「アルゴ」のように、民間コンサルタント(あれ民間とは言えない微妙な存在であったが)みたいなのを危険地域に潜入させて、万が一の人質奪回することを考えるのが合理的でしょう。
北朝鮮拉致事件やペルー大使館事件みたいに一度に大勢やられた場合には使えないが、殆どは今回の様に少人数の人質事件です。
やはり日本政府も軍情報部を作り、普段より中近東やアフリカ諸国、アジア諸国の軍情報部と情報関係を密にしておいてから、更に危険地域にて現地人協力者を養成しておくのが一番なんですが、そういう教訓やアドバイスが何時も全く生かされないのが、外交と安全保障は米国に丸投げの「吉田ドクトリン」墨守たる我が国の一番困ったことなのであります。



新たな画像に安倍首相「強い憤り」、外相はヨルダンとの連携強調
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=3246645
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