『待ち合せ』

　まち合せで早く駅に来てしまった。
　ここは駅前、今、三時四十分、後二十分もある。
　参ったなぁ、この辺で時間を潰せる場所はない。田舎だからなぁ。

　ふと見上げると、そこにかわいい女の子がいた。
　ふうん、いるとこにはいるものだな。年の頃は二十歳前後か？
　若いのに品があるなぁ。化粧も薄化粧でかわいくまとまっている。紅い口紅が男心をそそる。

　あっちのお兄さんが、ちらちら女の子を見ている。お兄さん、君は正しい。おやっ？声を掛ける気かい？その様子を見ると声は掛けなさそうだな。あっ、お兄さんと目が合ってしまった。同志よ。

「美佳ちゃ〜ん、待ったぁ〜？」
「あっ、由美ちゃん」

　おっと、まち合せの相手の友達かな。女の子は美佳ちゃんって言うのか。
　おいおい、ちょっと待てよ。なんで由美ちゃんランドセルしょってるの？

　あっ、同志よ。こっちを見て笑うんじゃない。