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2015年01月16日07:40

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「あぁ、大阪都構想」

 僕は大阪と神戸の間の西宮に住んでいます。今、大阪市と大阪府を「大阪都」に一本化して「二重行政」を排除して赤字をなくしたいと「維新の会」が頑張っています。しかし、多くの議員の賛成を得られず、しゃにむに「公明党に頼み込んで住民投票に持ち込んで」、橋下市長は自分の構想を貫こうとしています。また、元気印の橋下市長に「地方創生」の旗を掲げてもらって、政府の「地方分権政策」の突破口にしてもらおうと、自民党や総務省が担ごうとする動きもあります。ですが、この構想はなんだかちょっとおかしいのです。

 そもそも、大阪の財政が赤字になるのはなぜなのか?ここが解明されずに結論を急いではいないだろうかと思います。結論的に言えば、大阪は「民間」とか「政府」とかに対する「負んぶ体質」があって、「自分で黒字体質にしなくてはならない」「自治体は赤字になっても、市民のサービスを削るべきでない」と言った考えが底流にあるような気がします。だから、大阪都になっても赤字体質は変わらないと思います。

 これに対して、神戸市は大阪に比べればいろんなハンディキャップを抱えていました。もともと神戸は江戸時代まで小さな寒村で、海と六甲山が近く東西に長い傾斜地で、わずかに和田岬のあたりに漁港があったぐらいです。ところが、これを魅力的な街に行政が変えて行きました。まず大阪から来る阪神電鉄と阪急電鉄、姫路から来る山陽電鉄、有馬から来る神戸電鉄をつなぐ車両を持たない「神戸高速鉄道」を第三セクターで作って、地下にトンネルを掘ってつなぎました。今では京浜急行が東京メトロを抜けて京成成田までつながっていますが、神戸の相互乗り入れは画期的でした。ところが大阪では北の阪急、南の南海、東の近鉄、西の阪神が今でも馬鹿でかいターミナル駅を構え、唯一西の阪神と東の近鉄が(行政の努力無く)両社で延伸し繋がって、直通電車を通し大きく利益を上げています。

 神戸は傾斜地のため歴史的に何度も水害に見舞われ、その上阪神大震災にも襲われました。しかし、大型化する貨物船を受け入れ、街に近い住宅地を確保し、併せて大学や先端医療研究施設、さらには空港まで欲しくて、西の地域の山を切り開き長い長いベルトコンベァーを引いて、ポートアイランド、六甲アイランド、神戸空港を自力で作ってきました。今ではここに国際会議場もホテルもあって、多くの人が外部から移り住み、市民病院や大型商業施設も移ってきて繁栄しています。つまり、神戸の埋め立て地は明確な目的を持って作られ、市民生活になくてはならない施設を整備しましたが、大阪の埋め立て地は単なる「ごみの島」で、できた後にはめぼしい施設はなく、オリンピックの誘致に失敗し、野球場ぐらいがあるだけです。神戸のすごいところは、埋め立て用の土を取り除いた後を「西神ニュータウン」として新しく地下鉄を引き、住宅や大学用地として売り出したことです。

 これに対して大阪は「伊丹空港の騒音」とか「尼崎交通公害」とか補償を求めて訴訟が絶えませんでした。実際、騒音対策として「関西国際空港」を作った途端、「伊丹存続運動」が起きて温存され、そこへ大阪モノレールが延伸される始末です。神戸は新幹線の「新神戸駅」が山際のはずれにできると、すぐさまその上の山に「ハーブ園」を作り、「夢風船」なる空中ケーブルを引いてアクセスしやすくして、北野異人館街とつなげて「観光開発」するほか、東部の工場地帯の公害を除去して後に「美術館」や「商業施設」「団地」などを建設したり、都心の住居の空洞化に従って「葺合区」「生田区」などを「中央区」に合区するなど、常に新陳代謝しながら発展して、魅力ある町に成長しています。

 この神戸と大阪を真近かに見ていて、何でも問題点にケチをつけてガタガタ言うだけでは、何もよくならない。本当の「行政の在り方」は神戸のように市民が喜ぶ街づくりに、イベントづくりに、「夢を乗せて」みんなが参加できるようにしてこそ、本当の「地方創生」ではないのか?と思います。その意味で単なる「二重行政排除」と言う「後ろ向きの改革」だけで「大阪都構想」が成功することは困難ではないかと思います。
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