どんな会社にも人事異動があり、経営計画があり、拡大投資があり、それが景気変動や季節変動や貿易摩擦や為替変動などの外部要因との戦いの中で勝ち残った結果大きく成長してゆくものだと思います。どんな人にも得意科目と不得意科目があり、低学年から高学年へと進級し、勉強にスポーツに毎年レベルを上げて、大人になりいろんな選択肢の中から、「進学先」「就職先」「結婚相手」を絞り込み、大きく大成してゆくものではないかと思います。この時に、もし神がいて、「お前の将来の運命を見せてやろう」と言ったとしたら、見てみたいですか?どうなるかわからないから、自分の可能性を信じて頑張るのであって、分かってしまえば誰も努力などしなくなるのじゃないでしょうか?
つまり私たちが生きている社会は「不安定で一寸先が解らないから、みんなが努力し合ってより良い社会を目指すのであって、安定したルールや制度が固まっていれば、誰もが努力するのがばかばかしくなって発展しなくなる」と言うことを意識すべきではないでしょうか?ストレートに言えば「共産主義」と言う「教条」に従い「私有財産を認めず、政府が決めた計画に従ってそれぞれがノルマを達成すれば社会はうまく機能する」と言う仮説に従ってソ連や中共が国を作ったけれど、結局「決まった枠の中では自分一人頑張っても仕方がない」「努力の成果が自分に残らない」と言うことに市民が気が付いて、「平等の枠組み」の生活を嫌がり、「競争社会」に回帰しました。
と言うことは、国の発展は「競争原理」の中にあり、安定したルールの中には存在しないということではないかと思います。つまり「学問の研究」でも、「企業の発展」でもあるレベルをブレーク・スルーするためには、潤沢な予算や優秀な人材を揃えれば達成できるというのではなく、ギリギリの環境の中で必死に頑張った場合に初めて実現する場合が多いのではないかと思うのです。ノーベル賞を見ても京大や名大など、今年は徳島大学からも受賞者が出ました。中村教授のように「発明の動機は怒りだ!」と言い切る方もあるぐらいです。
そうなると政治の役割は、「体制の維持」ではなく、常に「ぬかみそをかき混ぜ」て、醗酵を促進するような政策が必要なのであって、「既得権益を守るための岩盤規制」はむしろ発展を妨げることになります。同時に「成功者としての階層の固定化」を認めれば、制度に胡坐をかき発展の足かせになります。つまり「前例主義」に陥り、商品のガラパゴス化を招き、発展が止まり経営危機に陥ります。したがって、貧富のいかんを問わず、制度の固定化は国民の「努力の芽」を摘み、社会の発展を阻害することになると思います。つまり社会の発展には「不安定」こそが大事な要件であると思います。
一方、不安定であれば何でも良いかと言えばそうではありません。東大受験を目指して頑張ってきた受験生に、学園闘争で入試を行わなかったことがありましたが、多くの方が迷惑をこうむったと思います。最近で言えば、こんなバカたれがいました。
http://news.livedoor.com/article/detail/9634197/
「正社員をなくしましょう」と言う言い分は、現場で働いたことのない学者の「専門バカ」の言い分です。これでは「カイゼン」も「アンドン」も「TQC」も成り立ちません。もし、この説が正しいのなら、官僚も自衛隊員もみんな明日から「非正規」に切り替えてテストしてから言ってもらいたい。勤労者をバカにした「部品扱い」の発言です。欧米人がアジアを植民地として扱ったころの、現地人を奴隷と同等に見ていたころの感覚であって、現在の進歩した社会で通用する考え方ではありません。現場では一人一人の「やる気」と「スキル」の向上にどれだけスーパーバイザーが苦労しているかを知らない「学者バカ」が専門家ズラして「有識者会議」に出てくるから、困るのです。
国権の最高機関としての立法府・国会の役割の一つは法律による富の再分配・所得の再分配には違いないのですが、それが制度を強化して岩盤化を進めるものであってはならない。あくまで緊張感を持って新たな年度を苦しみながらブレーク・スルーできるような『手伝い』をするようなものであってほしい。たとえ「社会保障制度の充実」であっても、基本は「一人で自立できるまでの手助け」であって、「生活保護の受給者が何の努力もせずに勤労者以上の所得を得られる制度」ではあってはならないと思います。
日本は戦後の荒廃した国土の中から厳しい環境の中で大きく経済成長を遂げてきました。ところがJAPAN AS NO.1と言われたあたりから慢心し、「ジュリアナ東京」や「ノーパンしゃぶしゃぶ」に浮かれ、ふやけてしまいました。2016年度予算を組むにあたって、もう一度この予算が日本の発展のために絶対に必要なものかどうか厳しい目で見直してみる必要があるのではないかと思います。「欲しがりません勝つまでは!」は今でも大事な教訓ではないでしょうか?
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