mixiユーザー(id:5376428)

2014年12月17日23:57

114 view

「ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2」

「ニンフォマニアック(Vol.1 / Vol.2)」 ’13 (デンマーク・独・仏・ベルギー・英)


監督・脚本:ラース・フォン・トリアー 原案:ビンカ・ウィーデマン
撮影:マヌエル・アルベルト・クラロ 美術:シモーヌ・グラウ・ルネイ
衣装:マノン・ラスムッセン 編集:モリー・マリーヌ・ステンスゴード
m:ステラン・スカルスガルド,シャイア・ラブーフ,クリスチャン・スレーター
  ジェイミー・ベル,ウィレム・デフォー,マイケル・パス
  ジャン・マルク・バール,ウド・ギア
f :シャーロット・ゲンズブール,ステイシー・マーティン,ユマ・サーマン
  ミア・ゴス,ソフィ・ケネディ・クラーク,コニー・ニールセン


ラース・フォン・トリアーの新作。
色情狂(ニンフォマニアック)の女性ジョーの物語…だが、
一人のヒロインで“女性のSEX について考察しようとする”と
色情狂にせざるを得ない…のだと思う。
だから目くるめく性行為の饗宴を期待するのはお門違いだし
そもそもトリアーの知性がSEX をそのように描くわけがないから、
ジョーが語る身の上話を 彼女を保護した教養高い紳士セリグマンが
「フライフィッシング」や「フィボナッチ数列」や
「バッハのポリフォニー」で読み解いてみせるのが、
既にして男性の分析癖の滑稽を自虐的に示しているようであり、
賢いジョーは当然 そういうセリグマンの理性をも満足させるべく
物語り(・・・)を男の分析に寄せて来るものだから、
画面はSEX のエピソードで進行するけれど
イヤラしいとか妖しいとか扇情的とかじゃなくて
ほとんど愉快というか 笑える楽しさで映画は進行する。
もちろんトリアーがそう仕組んでいるのだから
このような男の分析で“女性のSEX” に迫り得る…
と思っていないのも確かだけれど、
恋愛や結婚や不倫や出産や親の死や離婚…といった女性の人生を
ジョーのSEX ライフで切り取っては律儀に解説してみせるのが面白く
夫に愛を認識する替りに性の快楽を失ってしまう
唐突な「Vol.1」の終りにドキドキすらしたのだけれど、
まぁ決して愉快ではないジョーの後半のSEX ライフはともかく
ラストもラスト一番最後になって
聴き手であり批評者・分析官であったはずのセリグマンが
ジョーのSEX ライフに闖入する事態に腰が抜けてしまった!
え〜…それでいいの?
“これだから男ってやつは…”みたいなオチにしちゃっていいわけ??
ここまで引っ張って来た“女性のSEXに関する男性的考察譚”を粉々にして
これも笑わせようという趣向なのだろうか??
『アンチクライスト』の時から トリアーの“女性に対する恐怖,畏怖”は
病的に昂進している感じがしたけれども、
これだけ面白おかしく 理性的に“女性とSEX ”を分析して来て
最後に
ごめん。やっぱりオレ バカだよね―で逃げちゃうわけ!(笑)
そんなに怖がるなよー!(笑)
しかし一般の男性にしたって
マチズモで無理矢理組み敷いていないと
女は怖い存在なのかもしれないな…と思ったりもするので、
トリアーさんの恐怖も解かるような気もする。
彼の恐怖を想像すると…
女に生まれてよかったなぁ!と思ってしまうものね。
トリアー作品を継続して観て来た読者には、
“女性とSEX ”よりも
“ラース・フォン・トリアーと病気”が描かれている映画なのかも…。
ふたつの意味で面白い映画である。
1 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する