「残業をなくす」
毎日ネットを見てきましたから、大抵の記事は目につくと思っていましたが、まだまだ知らない世界があることを思い知らされました。それがこちらの世界です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130630-00010000-wordleaf-sci
そこには知名人である加藤登紀子さんや堀江貴文さんなども登場されますが、まだ知らなかった気鋭の英才が登場される非常にレベルの高いお話がいっぱい含まれています、その中から、「ウンウン」とうなずける方のお話をご紹介します。
一口に言ってしまえば「残業を廃止すれば、家庭も会社も地方自治体の財政もみんなよくなる」と言う話です。お話は短いですから、YOU TUBEでご覧いただくとして、このお話を聞いた僕の意見を中心に書いてみたいと思います。
会社の業績を上げるには売上総利益=粗利益×回転率ですから、単品のもうけに対してどれだけ数量を増やすかが課題でもあります。このことは良く知られているのですが、個人の仕事においても同じように「個人の業績=課題×件数」でもあるわけですから、限られた時間の中で「課題ごとの付加価値×解決した課題件数」と言うことになるのですが、往々にして「担当範囲」に固執したり、対象相手の都合などにかまけて、「時間無制限」に陥ったり、「策に三策あり」的に欲張った余分な検討時間をかけたりして、「回転率」を減らしてしまいがちになります。
一番気を付けたいことは、「創業者」や「創業家」には、その事業を起こした「使命感」や「動機」が明確なため、「自分の仕事は誰のためになされているのか」を十分知り尽くしていますが、そこに参加してきた社員には、「どうしてもその使命を果たしたい」と言う動機が薄いため、顧客の本音を十分把握できないということがあります。そうすると勢い「アンケート調査」や「ヒアリング」などに頼ったり、得意先に相談したりしますが、創業家でないと見抜けない「本心」がサラリーマンではつかめず、会議資料など作成し直すことが多くなり、残業が増えることになります。
なぜアンケートでは不十分かと言えば、ご自分がどこかの会社のアンケートにお答えになってみればお分かりになると思いますが、回答者としてはその商品に対して自分の考えを十分に伝えることが出来たとは到底思えない。単に項目の羅列の中から「近いものだけを選ばされただけ」と言う「平均点的回答」だけしか出来ず、到底そこから「突出した新製品」が生まれるとは思えないからです。まして得意先である店員さんやバイヤーさんは、メーカーの利益より自店の利益を最大化したいですから、「いかにも顧客の意見を代弁しているふりをしながら、実は時点の品ぞろえを有利に導くというバイアスがかかった意見」を聞かされることになります。
ところが創業家は自分が生活の中で困ったことを解決するために、現場の悩みを知り尽くしており、アンケートや得意先の声のウソを見ぬく「心眼」を持っています。昨日放送の「夢の扉」では北九州の魚屋さんが「漁獲高は天候に左右され波があるので、売れ残りは廃棄せねばならず、時化の時には売る魚がない。鮮度を落とさない装置が欲しい」と言って、「窒素の気泡を百万分の一ミリにして、水槽に発生させて鮮度を保つ」と言うものであり、「窒素の代わりに酸素を送れば養殖魚の生育が早くなる」というものでした。つまり、ビジネス・チャンスは「現場に落ちている」のであって、いくら調べたり、考えたりしても素晴らしいアイデアが次々に湧いてくるわけではありません。だから残業していくらインターネットで調べて資料を作って、現場を知らない同士が侃々諤々議論してもほとんどそれは「自己満足」の世界であり、時間の無駄にしかなりません。
仕事のできる人とできない人の違いは、現場を見る時の「勘所」の違いです。たとえば同じ『現場を見ることが大事だ』と言っても、漁船が返ってくる波止場を見に行って、船着き場を見てくる社員はピンボケの視察しかできません。創業家と同じ目線で「どんな魚がどこの漁場からどれだけとってきて、いくらでどんな顧客に売れて言っているのか」をまず確かめ、そこでの「売り上げの最大化×顧客数の拡大を進める上の障害になっていることは何か?」と言う目で視察しなければ、単なる観光視察にすぎません。新鮮なはまちのお作りを食べて、「美味しい、素晴らしい」と言ってお客目線で喜ぶだけです。
多くの会社が、なぜ残業が多いかと言うと、昼間に営業活動をして、たくさんの課題が浮かび上がり、その解決策を早急にまとめなければならないけれど、全部の資料がそろっていない。ですから昼間の幹部の会議で持ち上がった課題を調べて翌日朝一番の結果を報告しなければならないためです。しかし、多くの場合「課題が起きた」段階で、ほとんどの場合結果は出てしまっているのであって、残業して作った資料はほとんど「言い訳の資料」にしかなりません。つまり会社は残業代を払って、「悪い結果になった言い訳の資料」のために残業代を払っているのです。
創業家のような社員ばかりにするには「板前の修業」のように朝から晩まで現場で体で仕事を覚えて、裏の裏までツーカーでわかる社員を揃えることであって、優秀な大学を卒業した頭でっかちの現場のわからない「事実」をバカにして「意見」を振りかざす社員が多いところで「残業」は発生します。「効率的な仕事」は、「スピードアップ」であって、それは「自己満足」よりも、「顧客満足」で測られるべきです。
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